公図(こうず)とは、ある地番の土地が、
どこにどのような形状で位置するのかわかるように、
方位と各土地の地番の位置関係で示した図面のことです。

公図は、通称的な呼び名ですが、
不動産登記法による法律用語でいえば、
「地図」と「地図に準ずる図面」を総称したものです。

この記事では、登記申請業務を行っている土地家屋調査士が、
公図とは何かについてくわしく解説いたします。

この記事の監修者
【この記事の監修者】土地家屋調査士:寺岡孝幸の顔写真

土地家屋調査士:寺岡 孝幸(てらおか たかゆき)
資格:土地家屋調査士(とちかおくちょうさし)、行政書士。
取扱い分野:合筆登記など不動産の表示に関する登記全般。

経歴:開業以来21年間、合筆登記など登記に関する業務を行っています。
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公図とは?

地番のある土地は、法務局で不動産登記簿が管理されており、
登記事項証明書または登記情報を取得すれば、
各土地の所在・地番・地目・地積・所有者などがわかります。

しかし、法務局の不動産登記簿だけでは、
各土地の区画(形状)や位置関係がわかりません。

そこで、各土地の区画(形状)と位置関係のわかる資料が、
公図と呼ばれる図面なのです。

公図の種類と呼び方

公図は、一般的に呼ばれている言葉ですが、
不動産登記法では、「地図」と、
「地図に準ずる図面」の2種類のことです。

ただ、実務の現場では、「地図」や、
「地図に準ずる図面」という呼び方よりも、
公図の方がよく使われています。

また、公図は、字(あざ)ごとに作成されているため、
字限図(あざぎりず)や、単に切図(きりず)、
旧土地台帳附属地図と呼んだりもします。

公図の見本

「14条地図」と「地図に準ずる図面」の違い

公図は、「地図」と「地図に準ずる図面」の2種類あります。

ただ、「地図」だけでは、何の地図なのかわからないため、
「14条地図」と呼ばれています。

14条地図とは?

14条地図とは、不動産登記法第14条で、
備え付けを定めた地図のことです。

不動産登記法第十四条 登記所には、地図及び建物所在図を備え付けるものとする。

 前項の地図は、一筆又は二筆以上の土地ごとに作成し、各土地の区画を明確にし、地番を表示するものとする。

引用元: e-Gov法令検索.「不動産登記法 」. (参照 2022-8-5)

14条地図は、各土地の筆界点(境界点とも言う)が、
座標値によって作成された図面で、
各土地の筆界点を復元することができる精度の高い地図になります。

地図に準ずる図面とは?

14条地図を作成するには、精度の高い測量を伴うため、
非常に時間がかかる作業となります。

そのため、14条地図が法務局に備え付けられるまでの間、
14地図の代わりに備え付けを認められているのが、
「地図に準ずる図面」なのです。

不動産登記法第十四条 登記所には、地図及び建物所在図を備え付けるものとする。

 第一項の規定にかかわらず、登記所には、同項の規定により地図が備え付けられるまでの間、これに代えて、地図に準ずる図面を備え付けることができる。

 前項の地図に準ずる図面は、一筆又は二筆以上の土地ごとに土地の位置、形状及び地番を表示するものとする。

引用元: e-Gov法令検索.「不動産登記法 」. (参照 2022-8-5)

「地図に準ずる図面」は、14条地図に比べると、
精度があまりよくありません。

しかし、各土地の形状や位置関係、
地番がそれぞれわかる図面となります。

公図は信頼できる?

公図は信頼できるものと、
あまり信頼できないものがあります。

「14条地図」は、各土地の区画(形状)、方位、
位置関係のすべてが、非常に正確で信頼できます。

しかし、「地図に準ずる図面」は、