土地家屋調査士:寺岡 孝幸(てらおか たかゆき)
資格:土地家屋調査士(とちかおくちょうさし)、行政書士。
取扱い分野:合筆登記など不動産の表示に関する登記全般。
経歴:開業以来21年間、合筆登記など登記に関する業務を行っています。
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合筆登記を申請する際には、
登記申請書を必ず提出する必要があります。
ただ、登記申請書には様式(書式)があり、
書き方も決められています。
もし、合筆の登記申請書の様式や書き方を間違うと、
あとで困ることになってしまいます。
そこで、合筆の登記申請書の様式や書き方について、
合筆の登記申請業務を行っている土地家屋調査士が、
1つ1つ具体的にわかりやすく解説いたします。
この記事を閲覧することで、
合筆の登記申請書の様式や書き方で困ることはなくなるでしょう。
合筆の登記申請書の様式(書式)
登記申請書の様式は、平成16年11月1日から、
下図1のように、A4サイズ縦の横書きに変わっているので、
古い様式を使わないように注意が必要です。
合筆の登記申請書の最新様式は、次のとおりです。
合筆の登記申請書の様式自体は、
申請人が申請する場合も、代理人が申請する場合も同じですが、
記載すべき内容に少し違いがあります。
そこで、申請人が申請する場合と、代理人が申請する場合、
それぞれの合筆の登記申請書の記載例は次のとおりです。
申請人が申請する場合の登記申請書の記載例
この記載例は、所有権の登記がある土地の合筆の場合です。
もし、所有権の登記が無い土地の合筆の場合には、
次の3ヶ所の記載が不要になります。
- 添付情報の「登記識別情報または登記済証」の記載
- 添付情報の「印鑑証明書」の記載
- 「登録免許税 金1,000円」の記載
代理人が申請する場合の登記申請書の記載例
代理人が申請する場合には、
添付情報の所に代理権限証明情報の記載と、
代理人の住所・氏名・押印も必要です。
登記申請書の用紙は?
登記申請書の用紙は、平成16年11月1日から、
日本産業規格A列4番(A4サイズ)の用紙で、
作成することになっています。
そして、A4サイズの用紙を縦にして、
文字はすべて横書きで作成します。
用紙の裏には何も記載しないようにします。
用紙の紙質については、
普通のコピー用紙でもかまいませんが、
長期保存できる丈夫なもの(上質紙等)を使用すると良いです。
登記申請書はすべて手書きでもOK?
登記申請書は、すべて手書きで作成しても良いですし、
パソコンやワープロで作成して、
印刷したものでもかまいません。
ただし、手書きで作成する場合には、
黒インクか、黒ボールペン、カーボン紙などで、
はっきりした文字で書く必要があります。
鉛筆(えんぴつ)や消えるボールペンは、
使用してはいけません。
合筆の登記申請書の書き方
合筆の登記申請書に記載すべき内容と書き方について、
1つ1つわかりやすくご説明いたします。
タイトルの書き方
タイトルは用紙の上中央に、
大きめの文字で「登記申請書」と記載します。
ただし、用紙の上端から約5cmの範囲は、
登記所が受付シールを貼るスペースになるので、
下図2のように空白にしておきます。
具体的には、合筆登記の申請後に、
下図3のような受付シールを、
登記所が貼るスペースになるからです。
登記の目的の書き方
合筆の登記の目的は、「合筆」と記載します。
なお、「土地合筆」や「合筆登記」、
「土地合筆登記」と記載してもかまいません。
添付情報の書き方
添付情報の所には、次の6つの内、
実際に添付する情報のみを記載します。
- 登記識別情報
- 登記済証 (登記済権利証のこと)
- 印鑑証明書 (発行後3ヶ月以内の申請人の印鑑証明書のこと)
- 代理権限証明情報 (代理人が申請する場合の委任状のこと)
- 相続証明情報 (相続人から申請する場合の戸籍謄本等のこと)
- 資格証明情報(申請人が法人の場合で事項証明のこと)
登記識別情報や登記済証が具体的にどういった書類かは、
「登記識別情報通知の見本」や「登記済権利証の見本」で、
くわしく解説しています。
下図5は、所有権の登記のある土地の合筆で、
登記識別情報を添付して、
申請人が本人申請する場合の添付情報の見本です。
逆に下図6は、所有権の登記の無い土地の合筆で、
申請人が本人申請する場合の見本です。
次に下図7は、所有権の登記のある土地の合筆で、
権利証として登記済証を添付して、
代理人が申請する場合の見本です。
代理人が申請する場合、
代理権限証明情報として委任状が必要になります。
合筆登記の委任状の書式や例、ダウンロードについては、
「合筆登記の委任状を徹底解説!」を参照下さい。
ちなみに、法務局から提出をお願いされている書類として、
案内図や地形図がありますが、
これらは法定添付書類(法で定められた書類)ではありません。
そのため、たとえ添付していたとしても、
登記申請書の添付情報の所には、
案内図や地形図のことを記載する必要はないのです。
なお、合筆登記に必要な書類については、
「合筆登記の必要書類を徹底解説!」で、
くわしく解説しています。
登記識別情報(又は登記済証)を提供することができない理由の書き方
所有権の登記のある土地の合筆で、
登記識別情報(又は登記済証)を提供できない場合にのみ、
下図8の赤枠内の□1つにチェックを入れる必要があります。
提供できない理由としては、
不通知、失効、失念、管理支障、取引円滑障害、その他( )があります。
それぞれの意味は、次のとおりです。
- 不通知・・・登記識別情報の通知を受け取っていない。
- 失効・・・・登記識別情報の失効の申出により、登記識別情報が失効した。
- 失念・・・・紛失や盗難、焼失などによって物理的に提出できない。
- 管理支障・・登記識別情報を提供することで、管理上の支障が発生する。
- 取引円滑障害・・登記識別情報の提供で、円滑な不動産取引の障害になる。
- その他・・・その他の理由の場合で、( )内に具体的理由を記入。
以上の意味から、該当する理由の□内にチェックします。
ただし、所有権の登記の無い土地の合筆の場合や、
登記識別情報又は登記済証を添付できる場合は、
何もチェックする必要はありません。
登記識別情報の通知を希望しません。の意味は?
合筆登記の完了後、原則、
合筆後の土地の所有権を証明する書面として、
登記識別情報が法務局から発行されます。
しかし、登記識別情報はいらないという場合にのみ、
下図9の赤枠内「□登記識別情報の通知を希望しません」に、
チェック(レ)を入れます。
ただ、登記識別情報(新しい権利証)が手元に無いことになり、
あとあと困ることが多いので、
チェックを入れないことをお勧めします。
申請年月日と法務局の名称の書き方
下図10の赤枠内には、申請の年月日と、
合筆登記の申請書類を提出する法務局名を記載します。
まず、令和〇年〇月〇日申請の所には、
合筆の登記申請書類を登記所に提出する年月日を記入します。
もし、郵送で申請する場合には、発送日を記入します。
そして、法務局の名称の所には、
実際に提出する法務局名、地方法務局名、
または、これらの支局名、もしくは、出張所名を記載します。
法務局の名称の書き方としては、
次のいずれかの形になります。
- 〇〇法務局
- 〇〇法務局〇〇支局
- 〇〇法務局〇〇出張所
- 〇〇地方法務局
- 〇〇地方法務局〇〇支局
- 〇〇地方法務局〇〇出張所
具体的な法務局の名称については、
合筆しようとしている土地の管轄法務局を、
法務局のサイトの「地図から探す」、または、
「登記申請先がわかる法務局の管轄区域の一覧」で特定して法務局名を記載します。
申請人の書き方
下図11赤枠内の申請人の箇所には、
申請人である土地所有者の住所と氏名を記載します。
申請人の住所と氏名を記載する際の注意点としては、
登記簿に記録されている土地所有者の住所と氏名と、
一致させることです。
もし、登記簿の記録の住所又は氏名から変更がある場合には、
合筆の登記申請の前に、登記上の住所又は氏名を、
現在の住所又は氏名に変更する登記の申請が必要です。
住所の変更登記の申請については、
「住所変更登記の必要書類を徹底解説!」で、
くわしく解説しています。
また、申請人の氏名の右横には、
申請人の印鑑証明書と同じ印鑑(実印)で、
鮮明に押印する必要があります。
もし、土地所有者が共有の場合には、下図12のように、
申請人として、共有者全員の住所と氏名を記載し、
共有者全員の実印を押します。
なお、共有者の持分は、記載する必要がありません。
もし、土地所有者が法人の場合には、下図13のように、
申請人として、法人の本店または主たる事務所の住所、
商号または名称、代表者の資格と氏名を記載します。
代理人の書き方
代理人が合筆の登記を申請する場合には、
下図14赤枠内のように、申請人の下に、
代理人の住所・氏名を記載し、代理人の認印の押印が必要です。
そして、代理人が申請する場合にも、
申請人の住所と氏名の記載は必要ですが、
申請人の押印は必要ありません。
なぜなら、委任状の方に申請人の実印が押印されるからです。
なお、合筆登記の委任状の例や書式については、
「合筆登記の委任状を徹底解説!」を参照下さい。
連絡先の電話番号の書き方
合筆の登記申請書類に不備などがあった場合、
登記所の担当者から、申請人又は代理人に電話連絡されるので、
登記申請書に連絡が取れる電話番号の記載が必要です。
電話番号は、携帯電話番号でも固定電話番号でも、
どちらでもかまいません。
具体的な書き方としては、申請人が申請する場合、
下図15の赤枠内のように、申請人の住所・氏名の下に、
申請人の電話番号を記載します。
もし、共有の土地で申請人が複数いれば、
下図16のように、共有者の内、
1人の連絡先の記載だけでかまいません。
もし、代理人が申請する場合には、下図17のように、
代理人の住所、氏名、押印の下に、
代理人の電話番号を記載します。
登録免許税の書き方
所有権の登記がある土地の合筆の場合、
合筆後1筆につき1,000円の登録免許税がかかるので、
下図18の赤枠内のように、登記申請書にもその記載が必要です。
逆に、所有権の登記が無い土地の合筆の場合、
登録免許税はかからないので、
登記申請書に登録免許税の記載は必要ありません。
なお、所有権の登記の有り無しの確認方法や、
登録免許税の税額と納め方については、
「合筆登記の登録免許税について」を参照ください。
土地の表示欄の書き方
下図19の赤枠内の「土地の表示欄」には、土地の所在と、
合筆前の土地の地番、地目、地積、
合筆後の土地の地番、地目、地積、
それぞれの登記原因及びその日付の記載が必要です。
まず、土地の所在と、合筆前の各土地の地番、地目、地積は、
登記簿に記録されているとおりに記載しなければなりません。
ただし、下図20のように、
地番の所に不動産番号を記載すれば、
土地の所在、地番、地目、地積の記載を省略できます。
しかし、不動産番号が少しでも違うと内容が違ってくるので、
不動産番号を記載したとしても、
土地の所在、地番、地目、地積も記載しておいた方が良いです。
また、登記原因及びその日付の欄には、
合筆によって無くなる各土地の行に、
「〇番に合筆」と記載します。※〇番は合筆後の地番
そして、合筆後の土地の登記原因及びその日付欄には、
「③□番を合筆」と記載します。※□番は合筆して無くなる地番
下図21は、3筆の土地を合筆する場合の例です。
上図21のように、合筆後の土地の登記原因及びその日付欄で、
「③2番、3番を合筆」の③の意味は、合筆することによって、
③の地積のみが変わるという意味です。
なお、合筆後の地番は、原則、
合筆前の首位の地番(一番若い地番)を記載します。
合筆後の地番については、
「合筆後の地番はどうなる?特別な事情も解説!」で、
くわしく解説しています。
また、合筆後の土地の地積欄には、基本的に、
合筆前の各土地の地積(少数点以下の数値を含む)を、
全て足した地積を記載します。
ただし、合筆前の土地の内、
法務局に地積測量図が提出されている土地があれば、
地積測量図の地積(少数点以下の数値を含む)を足すことになります。
合筆後の地積の出し方については、
「合筆後の土地の地積(面積)はどうなる?」を参照下さい。
合筆前の土地の数が多い場合
合筆前の土地の数が多い場合、下図22のように、
土地の表示欄の行を増やして記載します。
土地の表示欄の行を増やしても記載しきれない場合は、
下図23の登記申請書の継続用紙を使用します。
継続用紙を使用する場合も記載方法は同じですが、
登記申請書+継続用紙の2枚になるので、
申請人又は代理人の契印が必要です。
合筆の登記申請書の様式(書式)のダウンロード
合筆の登記申請書の様式(白紙)を、
下記リストから自由にダウンロードしてご使用下さい。
PDF、Excel(エクセル)、Word(ワード)をご用意しています。
- 合筆の登記申請書の様式(申請人が申請の場合、土地3筆まで対応)
- 合筆の登記申請書の様式(申請人が申請の場合、土地6筆まで対応)
- 合筆の登記申請書の継続用紙
- 合筆の登記申請書の様式(申請人が申請の場合、土地3筆まで対応)
- 合筆の登記申請書の様式(申請人が申請の場合、土地6筆まで対応)
- 合筆の登記申請書の継続用紙
- 合筆の登記申請書の様式
合筆登記の申請を行う場合、
登記申請書だけでなく、登記識別情報または登記済証や、
印鑑証明書など、ケースによって必要書類が異なります。
そこで、合筆登記に必要な書類については、
「合筆登記の必要書類を徹底解説!」をご確認下さい。
なお、合筆登記を自分で申請しようという方は、
「合筆登記は自分でできる?自分でする手順」で、
手順と流れを解説しています。
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