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【この記事の監修者】土地家屋調査士:寺岡孝幸の顔写真

土地家屋調査士:寺岡 孝幸(てらおか たかゆき)
資格:土地家屋調査士(とちかおくちょうさし)、行政書士。
取扱い分野:合筆登記など不動産の表示に関する登記全般。

経歴:開業以来21年間、合筆登記など登記に関する業務を行っています。
土地家屋調査士のプロフィールはこちら

抵当権が設定されている土地については、
原則、合筆することはできません。

しかし、この原則には特例があり、
ある条件を満たしている土地同士であれば、
抵当権付きの土地であっても、合筆することが可能です。

ただ、「抵当権者の承諾も必要なのでは?」と、
心配される方も多いのではないでしょうか?

そこで、合筆の登記申請業務を行っている土地家屋調査士が、
抵当権付きの土地を特例で合筆するための条件についてと、
抵当権者の承諾が必要かどうかについてくわしく解説致します。

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この記事を読むことで、抵当権付きの土地を合筆する場合と、
抵当権者の承諾が必要かどうかがわかります。

抵当権付きの土地でも合筆できる場合とは?

抵当権の登記があっても、登記の目的、申請の受付年月日、
受付番号、登記原因及びその日付のすべてが同じであれば、
合筆することが可能です。

このことは、不動産登記規則第105条第二項で、
合筆の登記の制限の特例として、次のように定められています。

不動産登記規則(合筆の登記の制限の特例)第百五条
法第四十一条第六号の合筆後の土地の登記記録に登記することができる権利に関する登記は、次に掲げる登記とする。
二 担保権の登記であって、登記の目的、申請の受付の年月日及び受付番号並びに登記原因及びその日付が同一のもの

引用元: e-Gov法令検索.「不動産登記規則 」. (参照 2021-09-23)

抵当権付きで合筆できる場合の具体例

まず、抵当権付きの土地の登記簿では、
権利部の乙区(所有権以外の権利に関する事項)で、
次のような抵当権の登記がされています。

抵当権付きの土地登記簿の例
(抵当権付きの土地登記簿の例)

これら抵当権の登記内容の内、
抵当権の登記の目的欄、受付年月日・受付番号欄、
権利者その他の事項欄の登記内容に注目します。

具体例で言えば、次の赤枠内の部分です。

抵当権のある権利部乙区の登記内容の例
(抵当権のある権利部乙区の登記内容の例)

これらの登記内容を、合筆したい全ての土地の登記簿を見て、
それぞれ全く同じ登記内容であれば、
合筆することができるということです。

逆に、1ヶ所でも異なる抵当権の登記内容の土地があると、
その土地は合筆することができません。

なぜ、抵当権の登記内容が同じなら合筆できる?

抵当権の登記内容が全く同じ土地同士であれば、
合筆する前と後で、抵当権の登記に全く変化がなく、
抵当権者の権利の保護にも特に問題ないからです。

合筆して一筆になった際に、
同じ抵当権の登記内容をそのまま記載するだけなので、
合筆が認められているのです。

ただ、抵当権の登記内容が同じだからと言って、
どんな土地でも合筆できるわけではありません。

土地と土地が接していない場合や、
登記上の土地の地目や、所有者の住所氏名が異なる場合など、
6つの条件(制限)に該当する土地同士は合筆できません。

6つの合筆の条件(制限)は、合筆できない土地として、
不動産登記法第41条で明記されており、
合筆の条件(合筆制限)は?合筆できない土地」で、
くわしく解説しています。

地目とは何かについては、
地目(ちもく)とは?」を参照ください。

抵当権などの登記内容を確認するには?

実際に抵当権などの登記内容を確認したい場合には、
土地の登記事項証明書 又は 登記事項要約書、
もしくは、登記情報の内、いずれか1つを取得して、
内容を確認するのが一般的です。

なぜなら、登記事項証明書も、登記事項要約書も、
登記情報も、登記簿の内容が記載された書面だからです。

登記事項証明書と登記事項要約書は、
法務局の窓口で取得できる書面になります。

ただ、交付請求書と手数料分の収入印紙の提出が必要です。

収入印紙はどこでどうやって買うのかについては、
収入印紙はどこで買える?買い方は?」を参照ください。

登記情報は、インターネットで取得できますが、
パソコンの環境設定やクレジットカードの登録手続きが必要で、
取得できるようになるまで1~2週間程度の時間がかかります。

もし、ネットで楽に登記情報を取得したいという方は、
土地の登記情報・公図・地積測量図の取得で困っていませんか?
を活用すれば、自宅に居ながら登記情報等を取得することが可能です。

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抵当権者の承諾や承諾書は必要?

抵当権付きの土地の合筆登記を申請する際に、
抵当権者の承諾書が必要かと言えば、
登記申請には必要ありません。

なぜなら、抵当権者の承諾書は、
合筆登記の必要書類とされていないからです。

合筆登記に必要な書類が具体的に何かについては、
合筆登記の必要書類を徹底解説!」を参照ください。

また、抵当権者の承諾や承諾書がなくても、
合筆登記に必要な書類が整っていれば、
法務局は合筆登記の処理をするからです。

つまり、法務局側としては、土地の合筆登記について、
抵当権者の承諾や承諾書を特段求めていないため、
抵当権者の承諾については何とも言えない立場となります。

しかし、実際問題として、抵当権付きの土地の場合、
抵当権者が何も知らずに合筆登記が行われる状態よりも、
念のため、抵当権者にも合筆することを事前に知らせて、
確認を取っておいた方が安心です。

ただ、土地の合筆の旨を抵当権者に知らせる前に、
本当に合筆できる土地なのかどうかを、
正確に確認しておいた方が良いと言えます。

本当に合筆できる土地なのかどうかの確認は、
合筆の条件(合筆制限)は?合筆できない土地」で、
6つの合筆の条件をご確認ください。

また、合筆の条件(制限)の特例については、
合筆の制限の特例とは?」でくわしく解説しています。

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