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土地家屋調査士:寺岡 孝幸(てらおか たかゆき)
資格:土地家屋調査士(とちかおくちょうさし)、行政書士。
取扱い分野:合筆登記など不動産の表示に関する登記全般。
経歴:開業以来21年間、合筆登記など登記に関する業務を行っています。
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合筆登記では、印鑑証明書が常に必要というわけではなく、
印鑑証明書が必要な場合と、不要な場合があります。
印鑑証明書が必要な場合には、誰の印鑑証明書が必要で、
作成後何か月以内の印鑑証明書が必要という期限まで、
不動産登記令第16条で定められています。
そこで、合筆登記の申請業務を行っている土地家屋調査士が、
合筆登記で印鑑証明書が必要な場合と不要な場合について、
くわしく解説いたします。
合筆登記で印鑑証明書が必要な場合とは?
合筆登記で印鑑証明書が必要な場合とは、
所有権の登記がある土地の場合です。
所有権の登記がある土地というのは、
土地の登記情報(登記簿)が、次のような表題部だけでなく、
権利部の記載もある土地のことです。
![](https://gouhitu.com/wp-content/uploads/2022/07/syoyuukenntoukiari.png)
また、土地の登記済権利証 または 登記識別情報があれば、
所有権の登記がある土地と判断することもできます。
この場合、土地の所有権の登記名義人が申請人となり、
合筆登記の申請書に記名押印して、
印鑑証明書を添付しなければなりません。
もし、委任による代理人から合筆登記を申請する場合には、
所有権の登記名義人が委任状に記名押印した上で、
印鑑証明書を添付することになります。
つまり、合筆登記の申請を代理人に委任する場合でも、
代理人の印鑑証明書ではなく、
土地の所有権の登記名義人の印鑑証明書が必要ということです。
そして、いずれの印鑑証明書も、
所有権の登記名義人の住所地の市町村長又は区長が作成し、
作成後3ヶ月以内の原本が必要になります。
そのため、発行日より3ヶ月以上経過している印鑑証明書は、
使えないので、期限内の別の印鑑証明書を用意するか、
再取得することになるのです。
このことは、不動産登記令第16条1項~3項で、
次のように明記されています。
不動産登記令第十六条 申請人又はその代表者若しくは代理人は、法務省令で定める場合を除き、申請情報を記載した書面に記名押印しなければならない。
2 前項の場合において、申請情報を記載した書面には、法務省令で定める場合を除き、同項の規定により記名押印した者(委任による代理人を除く。)の印鑑に関する証明書(住所地の市町村長(特別区の区長を含むものとし、地方自治法第二百五十二条の十九第一項の指定都市にあっては、市長又は区長若しくは総合区長とする。次条第一項において同じ。)又は登記官が作成するものに限る。以下同じ。)を添付しなければならない。
3 前項の印鑑に関する証明書は、作成後三月以内のものでなければならない。
引用元: e-Gov法令検索.「不動産登記令 」. (参照 2022-07-29)
なお、所有権の登記名義人が複数名いる共有の場合には、
共有者全員の作成後3ヶ月以内の印鑑証明書が必要です。
たとえば、所有権の登記名義人が、Aさん(持分4分の2)、
Bさん(持分4分の1)、Cさん(持分4分の1)で共有の場合、
Aさん・Bさん・Cさん全員の印鑑証明書が必要ということです。
持分割合が均等であっても、不均等であっても、
共有であれば持分割合に関係なく、
共有者全員の印鑑証明書が必要になります。
また、所有権の登記名義人が法人の場合には、
その法人の代表者の印鑑証明書が必要になります。
ただし、法人の代表者の印鑑証明書については、
合筆の登記申請書への記載要件が整えば、
省略することも可能です。
合筆登記で印鑑証明書が省略できる場合や、
合筆の登記申請書への記載要件と記載例については、
「合筆登記で印鑑証明書は省略できる?」をご確認下さい。
合筆登記で印鑑証明書の原本還付については、
「合筆登記で印鑑証明書は原本還付できる?」を参照下さい。
印鑑証明書など合筆登記に必要な書類については、
「合筆登記の必要書類を徹底解説!」で、
くわしく解説しています。
合筆登記で印鑑証明書が不要な場合とは?
合筆登記で印鑑証明書が不要な場合とは、
所有権の登記がない土地の場合です。
所有権の登記がない土地というのは、
土地の登記情報(登記簿)が、次のような表題部だけで、
権利部がない土地のことです。
![](https://gouhitu.com/wp-content/uploads/2022/07/hyoudaibu001-1.png)
このような表題部だけの場合には、
表題部の最後に所有者の住所・氏名の記載があり、
表題部所有者(ひょうだいぶしょゆうしゃ)と呼ばれています。
【参照】表題部所有者とは?
所有権の登記がない土地と判断できれば、
それらの土地の合筆登記の申請には、
誰の印鑑証明書も必要ありません。
また、所有権の登記の有り無しを確認するには、
土地の登記済権利証、または、
登記識別情報通知の有無で確認することもできます。
なぜなら、土地の登記済権利証 または 登記識別情報もなく、
紛失したということもなければ、
所有権の登記がない土地と判断できるからです。
登記済権利証や登記識別情報通知がどういった書類かは、
「登記済権利証の見本」や「登記識別情報通知の見本」をご確認下さい。
このページを読んだ人は、次の関連性の高いページも読んでいます。
合筆登記で印鑑証明書は必要?期限はある?
という記事について、あれ?と思ったのでコメントします。
記事内では
「持分割合が均等であっても、不均等であっても、
共有であれば持分割合に関係なく、
共有者全員の印鑑証明書が必要になります。」
と書かれていらっしゃいますが・・・
分筆は共有物の軽微変更にあたるため、共有者の持ち分の価格の過半数の者で申請できるはずです。
この場合の添付書類は、申請者からの印鑑証明書と登記識別情報通知書のみで足りるはずです。
記事の例でいえば
所有権の登記名義人が、Aさん(持分4分の2)、
Bさん(持分4分の1)、Cさん(持分4分の1)で共有の場合、
Aさん・Bさんの二人だけでも申請人となれるはずで、またこの二人は共有物の管理者を選任することもできるはずです。この場合、Cさんの印鑑証明書等は不要となるはずですが・・・
いかがでしょうか。
コメント大変ありがとうございました。
お返事が遅くなり大変申し訳ございません。
おっしゃるとおりでございます。
記事内容が2023年3月以前の法改正前の内容のままとなっておりましたので、
記事を近日中に修正加筆などを行うように致します。
貴重なコメント大変感謝しております。
また、お気づきの点などございましたら、お知らせいただければありがたいです。
今後ともどうぞよろしくお願い致します。