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土地家屋調査士:寺岡 孝幸(てらおか たかゆき)
資格:土地家屋調査士(とちかおくちょうさし)、行政書士。
取扱い分野:合筆登記など不動産の表示に関する登記全般。

経歴:開業以来20年間、合筆登記など登記に関する業務を行っています。
土地家屋調査士のプロフィールはこちら

合筆の登記は、どんな土地でもできるわけではなく、
次の1から6のいずれかに該当する場合は、合筆できません。

  1. 相互に接続していない土地
  2. 地目(ちもく)または地番区域が相互に異なる土地
  3. 表題部所有者又は所有権の登記名義人が相互に異なる土地
  4. 表題部所有者又は所有権の登記名義人の持分が相互に異なる土地
  5. 所有権の登記がない土地と、所有権の登記がある土地
  6. 所有権の登記以外の権利に関する登記がある土地(特例あり)

これら合筆の条件(合筆制限)については、
不動産登記法第41条で明記されています。

ただ、合筆の条件をクリアーしている土地なのかどうか、
具体的に何をどうやって確認すれば良いのかよくわからない、
という人も多いのではないでしょうか?

そこで、上記6つの合筆の条件(合筆できない土地)について、
合筆の登記申請業務を行っている土地家屋調査士が、
1つ1つ具体的にわかりやすく解説致します。

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この記事を閲覧することで、合筆できない土地というのは、
具体的にどんな土地なのかがすべてわかります。

相互に接続していない土地

相互に接続していない土地とは、
下図のA土地とC土地のように、
境界線が互いに接続していない土地のことです。

このA土地とC土地のように、土地と土地が離れていて、
境界線が接続していない二筆の土地のみを、
合筆することはできません。

逆に、下図のA土地とB土地のように、
土地の境界線が互いに接続していれば、
一筆に合筆することができます。

境界線の一部分のみ接続している場合は?

下図のように、境界線上の一部分でも接続していれば、
合筆することが可能です。

境界点1点のみで接続している場合は?

下図のように、境界点1点のみで接続している土地だけでは、
合筆することができません。

なぜなら、土地と土地の接続については、
土地の境界点1点だけでなく、
土地の境界線で接続していなければならないからです。

三筆以上で土地と土地が直に接していない場合は?

合筆したい土地が三筆以上の場合、
全ての土地が直に接していなくても、
合筆したい土地を介して土地が接していれば合筆できます。

たとえば、下図のように、
A土地とC土地は、直に接していません。

しかし、A土地とC土地は、B土地を介して接続しているので、
B土地と一緒に合筆することで、
この三筆を一筆に合筆することは可能ということです。

公図上と現地の両方で接続が必要!

ここでいう土地の接続というのは、
公図上で土地と土地が接続していることと、
現地でも土地と土地が接続していることが必要です。

逆に、公図上 または 現地のどちらかで、
土地と土地が接続していなければ、合筆できません。

そのため、公図と現地の両方の確認が必要なのです。

たとえば、下図1のように、〇市〇町〇丁目1番の土地と、
〇市〇町〇丁目2番の土地を合筆したい場合、
まず、現在の公図を法務局で取得(又は手元に用意)して、
1番と2番の土地が接続しているかどうかを確認します。

公図上で互いに接続している例
(図1:公図上で互いに接続している例)

この例では、1番と2番の土地は、公図上、
赤線部分の境界線で互いに接続しています。

次に、下図2のように、現地でも、
1番と2番の土地が接続しているかどうかを確認するわけです。

現地で互いに接続している例
(図2:現地で互いに接続している例)

この例では、1番と2番の土地は、現地でも、
赤線部分の境界線で互いに接続しています。

この例のように、公図上でも現地でも、
土地と土地が互いに接続していれば、6つの合筆条件の内、
相互に接続という条件はクリアーしていることになります。

なお、合筆後の地番については、
合筆後の地番はどうなる?」を参照下さい。

地目又は地番区域が相互に異なる土地

まず、地目(ちもく)というのは、土地の種類のことで、
「田」「畑」「宅地」「雑種地」「原野」「山林」など、
不動産登記規則第99条で23種類が定められています。

地番区域というのは、
その土地の市区町村名及び字(あざ)名のことで、
たとえば、「〇市〇町字〇」や「〇市〇町〇丁目」の部分です。

そして、土地の地目 または 地番区域のいずれかが、
少しでも異なる土地は合筆できないということです。

具体例を挙げると、下図のように1番と2番の土地は、
どちらも地目が「宅地」で、
地番区域も同じなので合筆できます。

合筆できる土地とできない土地の例

しかし、3番と10番1の土地は、地番区域が異なるだけでなく、
地目も「雑種地」と「畑」で異なるため、合筆できません。

ただ、3番の土地を「宅地」に地目変更できれば、
3番の土地は、1番の土地との合筆や、
1番・2番の土地との合筆ができるようになります。

つまり、地番区域が異なると合筆は確実できませんが、
地目が異なるだけなら、先に登記地目を変更できれば、
合筆できる可能性があるということです。

地目とは何かや、登記地目とは何か、
地目はどうやって調べるのかについては、
地目(ちもく)とは?」でくわしく解説しています。

土地の地目と地番区域はどうやって確認する?

土地の登記済証(または登記済権利証)が手元にあれば、
地目と地番区域の両方を確認できます。

ただ、手元の登記済証(または登記済権利証)が古い場合、
土地の地目や地番区域が変更している可能性もあります。

そのため、土地の現在の登記情報をネットで取得するか、
または、登記事項証明書(または要約書)を法務局で取得して、
現在の地目と地番区域を、それぞれ確認しておいた方が良いです。

なぜなら、土地の登記情報や登記事項証明書には、
その土地の最新の地目と地番区域が、
下図のような表題部にそれぞれ記載されているからです。

土地の登記情報又は登記事項証明書の記載例
(土地の登記情報又は登記事項証明書の記載例)

登記地目だけでなく、現況地目の確認も必要!

地目については、登記地目の確認だけでなく、
現況地目(現地の状況から判断される地目)の確認も必要になります。

なぜなら、各土地の登記地目が同じであっても、
現況地目が異なれば、合筆できないからです。

たとえば、合筆したい土地の登記地目が同じ宅地であっても、
現況地目が宅地でなければ、
合筆できないということです。

現況地目の判断については、実際に現地の状況を見て、
地目が何になるのか、登記地目と同じかどうかを、
適切に判断するしかありません。

地目の種類と実際の具体例については、
地目の種類:全23種類の地目一覧と具体例」を参照下さい。

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表題部所有者又は所有権の登記名義人が相互に異なる土地

まず、土地の表題部所有者 又は 所有権の登記名義人というのは、
簡単に言いますと、土地の登記上の所有者のことです。

その登記上の所有者の住所または氏名が異なる土地同士は、
合筆できないということです。

表題部所有者はどうやって確認する?

表題部所有者を確認する方法としては、通常、
土地の登記情報または登記事項要約書を取得して、
表題部の記載内容を確認します。

具体的には、下図3のような土地の登記情報、
又は登記事項証明書の表題部という部分を見て、
「所有者 住所 氏名」の記載があれば、その人が表題部所有者です。

土地の登記情報の表題部所有者の記載例
(図3:土地の登記情報の表題部所有者の記載例)

ただし、所有権の登記がされている土地の場合には、
表題部所有者の記載はありません。

そのため、昭和時代から売買や相続がされてきている土地は、
通常、所有権の登記がされていますので、
ほとんどの土地は、表題部所有者の記載はないと言えます。

なお、表題部所有者については、
表題部所有者とは?」でくわしく解説しています。

所有権の登記名義人はどうやって確認する?

所有権の登記がされている場合は、
下図4の登記情報(または登記事項証明書)の例のように、
権利部(甲区)という部分に所有者の住所と氏名等が記載されます。

登記情報の所有権の登記名義人の記載例
(図4:登記情報の所有権の登記名義人の記載例)

このように、権利部(甲区)の記載があれば、
その土地は所有権の登記がされている土地なので、
所有権の登記名義人を確認できるというわけです。

なお、所有権の登記名義人については、
所有権の登記名義人とは?」で、
くわしく解説しています。

もし、所有権の登記名義人の住所または氏名が、
現在の住所または氏名と違っていればどうする?

土地所有者の登記上の住所が、
その後の引っ越しや住居表示の実施などで、
現住所と違っていることがあります。

また、土地所有者の登記上の氏名が、
婚姻や養子縁組などで、
現在の氏名と違っていることもあります。

その場合には、先に、登記上の住所または氏名を、
現在の住所または氏名に変更登記することで、
合筆登記をする方法があるのです。

つまり、所有者の住所または氏名が異なっていれば、
そのままでは合筆できないので、先に一致させてから、
あとで合筆登記を申請するという方法です。

この方法は、共有者の住所または氏名についても、
同じことが言えます。

なお、所有者の住所の変更登記については、
住所変更登記と必要書類を徹底解説!」で、
くわしく解説しています。

表題部所有者又は所有権の登記名義人の持分が相互に異なる土地

土地の所有者が複数(共有)の場合、たとえば、
Aさんの持分2分の1で、Bさんの持分2分の1のように、
共有者全員の持分が登記情報に記載されています。

そして、土地の所有者が複数(共有)の場合には、
それぞれの土地の共有者の持分がすべて同じでないと、
合筆できないということです。

持分が異なる土地とは?

たとえば、1番と2番の土地の所有者が2名(AさんBさん)で、
それぞれの土地の持分が次のように同じであれば合筆は可能です。

  • 1番の土地・・・Aさん持分3分の2、Bさん持分3分の1
  • 2番の土地・・・Aさん持分3分の2、Bさん持分3分の1

しかし、次のようにAさんとBさんの持分が異なる場合は、
合筆することができないということです。

  • 1番の土地・・・Aさん持分3分の2、Bさん持分3分の1。
  • 2番の土地・・・Aさん持分2分の1、Bさん持分2分の1。

なお、土地の所有者が1名のみ(単有)の場合は、
持分についての合筆の条件は関係のない話になります。

所有権の登記がない土地と、所有権の登記がある土地

まず、所有権の登記がない土地というのは、
下図の例のように、登記情報の表題部に、
所有者の住所と氏名が記載されている土地のことです。

所有権の登記がない土地の登記情報の例
(所有権の登記がない土地の登記情報の例)

逆に、所有権の登記がある土地というのは、
下図の例のように、登記情報の権利部(甲区)に、
所有者の住所と氏名が記載されている土地のことです。

所有権の登記がある土地の登記情報の例
(所有権の登記がある土地の登記情報の例)

そして、合筆するためには、
所有権の登記がない土地同士か、
所有権の登記がある土地同士でなければなりません。

所有権の登記の有り無しを確認するには?

土地の登記済権利証 又は 登記識別情報通知の有無によって、
所有権の登記がある土地と、ない土地を判断する方法があります。

もし、土地の登記済権利証 又は 登記識別情報通知があれば、
その土地は所有権の登記がある土地と判断できます。

登記済権利証や登記識別情報が具体的にどういった書類かは、
登記済権利証の見本」と「登記識別情報通知の見本」を、
それぞれご確認ください。

ただ、登記済権利証や登記識別情報通知が見当たらなくても、
紛失していた場合や、実際はあるのに、
ないと勘違いすることもあります。

そのため、所有権の登記の有り無しを正確に確認するには、
合筆したいすべての土地の登記情報をネットで取得するか、
登記事項証明書を法務局で取得して確認する方法が一番安心です。

もし、ネットで簡単に登記情報などを取得したいという方は、
登記情報・公図・地積測量図の取得に困っていませんか?」を参照下さい。

ちなみに、所有権の登記がない土地について、
先に所有権の登記をしてから、
所有権の登記のある土地と合筆することは可能です。

所有権の登記以外の権利に関する登記がある土地

まず、所有権の登記以外の権利に関する登記とは、
所有権の保存登記と、所有権の移転登記以外の登記のことです。

具体的には、次の8つの登記が、
所有権の登記以外の権利に関する登記に該当します。

  1. 所有権に関する仮登記
  2. 所有権についての処分制限の登記
  3. 買戻特約の登記
  4. 信託の登記
  5. 敷地権である旨の登記
  6. 財団に属した旨の登記
  7. 先取特権、質権、抵当権の登記
  8. 要役地についてする地役権の登記

上記のいずれかの登記がある土地は、
原則、合筆できないということです。

所有権の登記以外の権利に関する登記を確認するには?

所有権の登記以外の権利に関する登記を確認するには、
土地の現在の登記情報 または 登記事項要約書を取得して、
権利部の記載内容を確認します。

具体的には、下図5のような土地の登記情報、
又は登記事項証明書の権利部という部分を見て、
(甲区)の記載内容を確認するのです。

土地の登記情報の権利部(甲区)の例
(図5:土地の登記情報の権利部(甲区)の例)

この権利部の(甲区)に、
所有権保存や所有権移転の登記以外の登記があれば、
原則、合筆できないということです。

また、下図6の赤枠内のように、
権利部に(乙区)の記載があっても、
原則、合筆できないということになります。

土地の登記情報に権利部(乙区)がある例
(図6:土地の登記情報に権利部(乙区)がある例)

なぜなら、権利部(乙区)の記載があるということは、
所有権以外の権利に関する登記があるということだからです。

ただし、この合筆の条件(合筆の制限)には特例があり、
特例に該当していれば、合筆することが可能です。

合筆の制限の特例とは?

合筆の制限の特例として、
次の1~4の土地は、合筆することが可能となっています。

  1. 承役地についてする地役権の登記がある土地。
  2. 先取特権、質権、又は抵当権の登記がある土地で、
    登記の目的、申請の受付年月日、受付番号、
    登記原因及びその日付がすべて同じ土地。
  3. 信託の登記がある土地で、
    法第97条第1項各号に掲げる登記事項が同じ土地。
  4. 鉱害賠償登録に関する登記がある土地で、
    鉱害賠償登録規則第2条に規定する登録番号が同じ土地。

これら合筆の制限の特例については、
合筆の制限の特例とは?」で、
1つ1つくわしく解説しています。

また、抵当権が設定されている土地の合筆については、
抵当権付きでも合筆可能?抵当権者の承諾は?」を参照下さい。

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