![【この記事の監修者】土地家屋調査士:寺岡孝幸の顔写真](https://gouhitu.com/wp-content/uploads/2021/08/kannsyuusyateraokatakayuki.png)
土地家屋調査士:寺岡 孝幸(てらおか たかゆき)
資格:土地家屋調査士(とちかおくちょうさし)、行政書士。
取扱い分野:合筆登記など不動産の表示に関する登記全般。
経歴:開業以来21年間、合筆登記など登記に関する業務を行っています。
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合筆の登記は、どんな土地でもできるわけではなく、
次の1から6のいずれかに該当する場合は、合筆できません。
- 相互に接続していない土地
- 地目(ちもく)または地番区域が相互に異なる土地
- 表題部所有者又は所有権の登記名義人が相互に異なる土地
- 表題部所有者又は所有権の登記名義人の持分が相互に異なる土地
- 所有権の登記がない土地と、所有権の登記がある土地
- 所有権の登記以外の権利に関する登記がある土地(特例あり)
これら合筆の条件(合筆制限)については、
不動産登記法第41条で明記されています。
ただ、合筆の条件をクリアーしている土地なのかどうか、
具体的に何をどうやって確認すれば良いのかよくわからない、
という人も多いのではないでしょうか?
そこで、上記6つの合筆の条件(合筆できない土地)について、
合筆の登記申請業務を行っている土地家屋調査士が、
1つ1つ具体的にわかりやすく解説致します。
この記事を閲覧することで、合筆できない土地というのは、
具体的にどんな土地なのかがすべてわかります。
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相互に接続していない土地
相互に接続していない土地とは、
下図のA土地とC土地のように、
境界線が互いに接続していない土地のことです。
![](https://gouhitu.com/wp-content/uploads/2022/05/setuzokusitenai-1.png)
このA土地とC土地のように、土地と土地が離れていて、
境界線が接続していない二筆の土地のみを、
合筆することはできません。
逆に、下図のA土地とB土地のように、
土地の境界線が互いに接続していれば、
一筆に合筆することができます。
![](https://gouhitu.com/wp-content/uploads/2022/05/tagainisetuzoku0.png)
境界線の一部分のみ接続している場合は?
下図のように、境界線上の一部分でも接続していれば、
合筆することが可能です。
![](https://gouhitu.com/wp-content/uploads/2022/05/itibusetuzoku.png)
境界点1点のみで接続している場合は?
下図のように、境界点1点のみで接続している土地だけでは、
合筆することができません。
![](https://gouhitu.com/wp-content/uploads/2022/05/1tenndakedesetuzoku.png)
なぜなら、土地と土地の接続については、
土地の境界点1点だけでなく、
土地の境界線で接続していなければならないからです。
三筆以上で土地と土地が直に接していない場合は?
合筆したい土地が三筆以上の場合、
全ての土地が直に接していなくても、
合筆したい土地を介して土地が接していれば合筆できます。
たとえば、下図のように、
A土地とC土地は、直に接していません。
![](https://gouhitu.com/wp-content/uploads/2022/05/kaisitesetuzoku1.png)
しかし、A土地とC土地は、B土地を介して接続しているので、
B土地と一緒に合筆することで、
この三筆を一筆に合筆することは可能ということです。
公図上と現地の両方で接続が必要!
ここでいう土地の接続というのは、
公図上で土地と土地が接続していることと、
現地でも土地と土地が接続していることが必要です。
逆に、公図上 または 現地のどちらかで、
土地と土地が接続していなければ、合筆できません。
そのため、公図と現地の両方の確認が必要なのです。
たとえば、下図1のように、〇市〇町〇丁目1番の土地と、
〇市〇町〇丁目2番の土地を合筆したい場合、
まず、現在の公図を法務局で取得(又は手元に用意)して、
1番と2番の土地が接続しているかどうかを確認します。
![公図上で互いに接続している例](https://gouhitu.com/wp-content/uploads/2022/05/kouzudesetuzokurei.png)
この例では、1番と2番の土地は、公図上、
赤線部分の境界線で互いに接続しています。
次に、下図2のように、現地でも、
1番と2番の土地が接続しているかどうかを確認するわけです。
![現地で互いに接続している例](https://gouhitu.com/wp-content/uploads/2022/05/genntidesetuzokurei.png)
この例では、1番と2番の土地は、現地でも、
赤線部分の境界線で互いに接続しています。
この例のように、公図上でも現地でも、
土地と土地が互いに接続していれば、6つの合筆条件の内、
相互に接続という条件はクリアーしていることになります。
なお、合筆後の地番については、
「合筆後の地番はどうなる?特別な事情も解説!」を参照下さい。
地目又は地番区域が相互に異なる土地
まず、地目(ちもく)というのは、土地の種類のことで、
「田」「畑」「宅地」「雑種地」「原野」「山林」など、
不動産登記規則第99条で23種類が定められています。
地番区域というのは、
その土地の市区町村名及び字(あざ)名のことで、
たとえば、「〇市〇町字〇」や「〇市〇町〇丁目」の部分です。
そして、土地の地目 または 地番区域のいずれかが、
少しでも異なる土地は合筆できないということです。
具体例を挙げると、下図のように1番と2番の土地は、
どちらも地目が「宅地」で、
地番区域も同じなので合筆できます。
![合筆できる土地とできない土地の例](https://gouhitu.com/wp-content/uploads/2022/04/timokutotibannkuiki.png)
しかし、3番と10番1の土地は、地番区域が異なるだけでなく、
地目も「雑種地」と「畑」で異なるため、合筆できません。
ただ、3番の土地を「宅地」に地目変更できれば、
3番の土地は、1番の土地との合筆や、
1番・2番の土地との合筆ができるようになります。
つまり、地番区域が異なると合筆は確実できませんが、
地目が異なるだけなら、先に登記地目を変更できれば、
合筆できる可能性があるということです。
地目とは何かや、登記地目とは何か、
地目はどうやって調べるのかについては、
「地目(ちもく)とは?」でくわしく解説しています。
土地の地目と地番区域はどうやって確認する?
土地の登記済証(または登記済権利証)が手元にあれば、
地目と地番区域の両方を確認できます。
ただ、手元の登記済証(または登記済権利証)が古い場合、
土地の地目や地番区域が変更している可能性もあります。
そのため、土地の現在の登記情報をネットで取得するか、
または、登記事項証明書(または要約書)を法務局で取得して、
現在の地目と地番区域を、それぞれ確認しておいた方が良いです。
なぜなら、土地の登記情報や登記事項証明書には、
その土地の最新の地目と地番区域が、
下図のような表題部にそれぞれ記載されているからです。
![土地の登記情報又は登記事項証明書の記載例](https://gouhitu.com/wp-content/uploads/2021/09/toukijyouhounorei.png)
登記地目だけでなく、現況地目の確認も必要!
地目については、登記地目の確認だけでなく、
現況地目(現地の状況から判断される地目)の確認も必要になります。
なぜなら、各土地の登記地目が同じであっても、
現況地目が異なれば、合筆できないからです。
たとえば、合筆したい土地の登記地目が同じ宅地であっても、
現況地目が宅地でなければ、
合筆できないということです。
現況地目の判断については、実際に現地の状況を見て、
地目が何になるのか、登記地目と同じかどうかを、
適切に判断するしかありません。
地目の種類と実際の具体例については、
「地目の種類:全23種類の地目一覧と具体例」を参照下さい。
表題部所有者又は所有権の登記名義人が相互に異なる土地
まず、土地の表題部所有者 又は 所有権の登記名義人というのは、
簡単に言いますと、土地の登記上の所有者のことです。
その登記上の所有者の住所または氏名が異なる土地同士は、
合筆できないということです。
表題部所有者はどうやって確認する?
表題部所有者を確認する方法としては、通常、
土地の登記情報または登記事項要約書を取得して、
表題部の記載内容を確認します。
具体的には、下図3のような土地の登記情報、
又は登記事項証明書の表題部という部分を見て、
「所有者 住所 氏名」の記載があれば、その人が表題部所有者です。
![土地の登記情報の表題部所有者の記載例](https://gouhitu.com/wp-content/uploads/2021/09/hyoudaibunosyoyuusya.png)
ただし、所有権の登記がされている土地の場合には、
表題部所有者の記載はありません。
そのため、昭和時代から売買や相続がされてきている土地は、
通常、所有権の登記がされていますので、
ほとんどの土地は、表題部所有者の記載はないと言えます。
なお、表題部所有者については、
「表題部所有者とは?」でくわしく解説しています。
所有権の登記名義人はどうやって確認する?
所有権の登記がされている場合は、
下図4の登記情報(または登記事項証明書)の例のように、
権利部(甲区)という部分に所有者の住所と氏名等が記載されます。
![登記情報の所有権の登記名義人の記載例](https://gouhitu.com/wp-content/uploads/2021/09/syoyuukennnotoukimeigininn.png)
このように、権利部(甲区)の記載があれば、
その土地は所有権の登記がされている土地なので、
所有権の登記名義人を確認できるというわけです。
なお、所有権の登記名義人については、
「所有権の登記名義人とは?」で、
くわしく解説しています。
もし、所有権の登記名義人の住所または氏名が、
現在の住所または氏名と違っていればどうする?
土地所有者の登記上の住所が、
その後の引っ越しや住居表示の実施などで、
現住所と違っていることがあります。
また、土地所有者の登記上の氏名が、
婚姻や養子縁組などで、
現在の氏名と違っていることもあります。
その場合には、先に、登記上の住所または氏名を、
現在の住所または氏名に変更登記することで、
合筆登記をする方法があるのです。
つまり、所有者の住所または氏名が異なっていれば、
そのままでは合筆できないので、先に一致させてから、
あとで合筆登記を申請するという方法です。
この方法は、共有者の住所または氏名についても、
同じことが言えます。
なお、所有者の住所の変更登記については、
「住所変更登記の必要書類を徹底解説!」で、
くわしく解説しています。
表題部所有者又は所有権の登記名義人の持分が相互に異なる土地
土地の所有者が複数(共有)の場合、たとえば、
Aさんの持分2分の1で、Bさんの持分2分の1のように、
共有者全員の持分が登記情報に記載されています。
そして、土地の所有者が複数(共有)の場合には、
それぞれの土地の共有者の持分がすべて同じでないと、
合筆できないということです。
持分が異なる土地とは?
たとえば、1番と2番の土地の所有者が2名(AさんBさん)で、
それぞれの土地の持分が次のように同じであれば合筆は可能です。
- 1番の土地・・・Aさん持分3分の2、Bさん持分3分の1
- 2番の土地・・・Aさん持分3分の2、Bさん持分3分の1
しかし、次のようにAさんとBさんの持分が異なる場合は、
合筆することができないということです。
- 1番の土地・・・Aさん持分3分の2、Bさん持分3分の1。
- 2番の土地・・・Aさん持分2分の1、Bさん持分2分の1。
なお、土地の所有者が1名のみ(単有)の場合は、
持分についての合筆の条件は関係のない話になります。
所有権の登記がない土地と、所有権の登記がある土地
まず、所有権の登記がない土地というのは、
下図の例のように、登記情報の表題部に、
所有者の住所と氏名が記載されている土地のことです。
![所有権の登記がない土地の登記情報の例](https://gouhitu.com/wp-content/uploads/2021/09/hyoudaibunosyoyuusya.png)
逆に、所有権の登記がある土地というのは、
下図の例のように、登記情報の権利部(甲区)に、
所有者の住所と氏名が記載されている土地のことです。
![所有権の登記がある土地の登記情報の例](https://gouhitu.com/wp-content/uploads/2021/09/syoyuukennnotoukimeigininn.png)
そして、合筆するためには、
所有権の登記がない土地同士か、
所有権の登記がある土地同士でなければなりません。
所有権の登記の有り無しを確認するには?
土地の登記済権利証 又は 登記識別情報通知の有無によって、
所有権の登記がある土地と、ない土地を判断する方法があります。
もし、土地の登記済権利証 又は 登記識別情報通知があれば、
その土地は所有権の登記がある土地と判断できます。
登記済権利証や登記識別情報が具体的にどういった書類かは、
「登記済権利証の見本」と「登記識別情報通知の見本」を、
それぞれご確認ください。
ただ、登記済権利証や登記識別情報通知が見当たらなくても、
紛失していた場合や、実際はあるのに、
ないと勘違いすることもあります。
そのため、所有権の登記の有り無しを正確に確認するには、
合筆したいすべての土地の登記情報をネットで取得するか、
登記事項証明書を法務局で取得して確認する方法が一番安心です。
もし、ネットで簡単に登記情報などを取得したいという方は、
「土地の登記情報・公図・地積測量図の取得で困っていませんか?」を参照下さい。
ちなみに、所有権の登記がない土地について、
先に所有権の登記をしてから、
所有権の登記のある土地と合筆することは可能です。
所有権の登記以外の権利に関する登記がある土地
まず、所有権の登記以外の権利に関する登記とは、
所有権の保存登記と、所有権の移転登記以外の登記のことです。
具体的には、次の8つの登記が、
所有権の登記以外の権利に関する登記に該当します。
- 所有権に関する仮登記
- 所有権についての処分制限の登記
- 買戻特約の登記
- 信託の登記
- 敷地権である旨の登記
- 財団に属した旨の登記
- 先取特権、質権、抵当権の登記
- 要役地についてする地役権の登記
上記のいずれかの登記がある土地は、
原則、合筆できないということです。
所有権の登記以外の権利に関する登記を確認するには?
所有権の登記以外の権利に関する登記を確認するには、
土地の現在の登記情報 または 登記事項要約書を取得して、
権利部の記載内容を確認します。
具体的には、下図5のような土地の登記情報、
又は登記事項証明書の権利部という部分を見て、
(甲区)の記載内容を確認するのです。
![土地の登記情報の権利部(甲区)の例](https://gouhitu.com/wp-content/uploads/2022/07/kennribukouku.png)
この権利部の(甲区)に、
所有権保存や所有権移転の登記以外の登記があれば、
原則、合筆できないということです。
また、下図6の赤枠内のように、
権利部に(乙区)の記載があっても、
原則、合筆できないということになります。
![土地の登記情報に権利部(乙区)がある例](https://gouhitu.com/wp-content/uploads/2022/07/kennribuotukunorei.png)
なぜなら、権利部(乙区)の記載があるということは、
所有権以外の権利に関する登記があるということだからです。
ただし、この合筆の条件(合筆の制限)には特例があり、
特例に該当していれば、合筆することが可能です。
合筆の制限の特例とは?
合筆の制限の特例として、
次の1~4の土地は、合筆することが可能となっています。
- 承役地についてする地役権の登記がある土地。
- 先取特権、質権、又は抵当権の登記がある土地で、
登記の目的、申請の受付年月日、受付番号、
登記原因及びその日付がすべて同じ土地。 - 信託の登記がある土地で、
法第97条第1項各号に掲げる登記事項が同じ土地。 - 鉱害賠償登録に関する登記がある土地で、
鉱害賠償登録規則第2条に規定する登録番号が同じ土地。
これら合筆の制限の特例については、
「合筆の制限の特例とは?」で、
1つ1つくわしく解説しています。
また、抵当権が設定されている土地の合筆については、
「抵当権付きでも合筆可能?抵当権者の承諾は?」を参照下さい。
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