土地家屋調査士:寺岡 孝幸(てらおか たかゆき)
資格:土地家屋調査士(とちかおくちょうさし)、行政書士。
取扱い分野:合筆登記など不動産の表示に関する登記全般。
経歴:開業以来21年間、合筆登記など登記に関する業務を行っています。
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表題部所有者(ひょうだいぶしょゆうしゃ)とは、
土地や建物の登記記録(登記簿)の表題部に、
所有者として記載されている人のことです。
ただし、すべての土地や建物の登記記録の表題部に、
所有者が記載されているわけではありません。
なぜなら、所有権の登記のある土地や建物の登記記録には、
表題部に所有者の記載はなく、
同じ登記記録の権利部(甲区)に所有者が記載されるからです。
ただ、具体例を見ながらの方がわかりやすいと思いますので、
表題部所有者について、登記専門の土地家屋調査士が、
具体的にわかりやすく解説致します。
この記事を閲覧することで、表題部所有者とは何か、
表題部所有者の確認方法などがすべてわかります。
表題部とは?
表題部とは、1筆の土地又は一個の建物ごとに作成されていて、
登記記録(登記簿)又はその一部のことです。
そして、各土地または各建物の登記記録(登記簿)は、
表題部のみの構成か、
表題部と権利部の2部構成のどちらかで作成されています。
また、不動産登記規則第4条(及び同別表1)では、
土地の登記記録の表題部には、不動産番号、所在、地番、地目、
地積、所有者などを記録すると定められています。
では、具体的に表題部とは何かと言えば、
土地の登記記録(登記簿)の内、
次の記載範囲のことです。
また、不動産登記規則第4条(及び同別表2)では、
建物の登記記録の表題部には、不動産番号、所在、
家屋番号、種類、構造、床面積、附属建物に関する事項、
所有者などを記録すると定められています。
では、建物の場合、表題部とは何かと言えば、
建物の登記記録(登記簿)の内、
次の記載範囲のことです。
そして、所有権の登記のある土地や建物の登記記録の場合には、
下図3のように、表題部のすぐ下に権利部が記載されます。
これら所有権の登記のある土地や建物の登記記録の場合、
表題部所有者の記載はないことに注意が必要です。
表題部所有者の確認方法
土地や建物の表題部の所有者を確認するには、
その土地や建物の登記情報、登記事項要約書、
登記事項証明書のいずれか1つを取得する必要があります。
なお、登記事項要約書と登記事項証明書については、
法務局でのみ取得できる書面です。
土地の登記情報、登記事項要約書、
登記事項証明書のいずれか1つを取得できましたら、
下図1のような表題部の記載(所在、地番、地目、地積等)があります。
そして、表題部に所有者の住所と氏名の記載があり、
その住所と氏名に下線が引かれていなければ、
その人が、表題部所有者ということです。
逆に、表題部の所有者の記載がない場合は、
表題部だけでなく、下図2のような権利部(甲区)の記載もあるはずです。
もし、上図2のような権利部(甲区)の記載があれば、
表題部所有者の記載はないということになります。
そして、表題部所有者の記載がなければ、
権利部(甲区)に所有者として記載されている人が、
所有権の登記名義人ということになるのです。
ただし、権利部(甲区)の所有権の登記名義人は、
順位番号、登記の目的(所有権移転など)、持分などから、
現在の所有権の登記名義人を判断する必要があります。
なお、所有権の登記名義人については、
「所有権の登記名義人とは?」で、
くわしく解説しています。
もし、登記情報などの取得でお困りの方は、
「土地の登記情報・公図・地積測量図の取得で困っていませんか?」
で楽に取得する方法があります。
なぜ、登記記録(登記簿)が表題部のみしかない?
なぜ、登記記録(登記簿)が表題部のみしかないのかと言えば、
その不動産(土地や建物)については、過去に、
所有権など権利に関する登記が一切されてこなかったからです。
土地については、売買や相続、担保の設定などで、
一度は、権利に関する登記がされることが多いです。
しかし、山の中の土地や田舎の土地などでは、
売買や相続、担保の設定などを、
明治時代や大正時代から一度もしてこなかった土地もあります。
そのような土地については、明治時代や大正時代から現在まで、
表題部所有者の記載がそのままになっているわけです。
その場合、表題部のみの土地の登記記録(登記簿)になるのです。
そして、そのような土地は、
表題部所有者が何十年も前に亡くなっていて、
所有者が不明な土地になっていることもあります。
なお、建物については、表題部の登記はしていても、
ローンなど担保の設定が必要ない場合、
所有権の登記まではしていない建物もあります。
その場合、表題部のみの建物の登記記録(登記簿)になるのです。
表題部所有者と所有権の登記名義人の違い
表題部所有者も、所有権の登記名義人も、
その土地や建物の所有者であることに違いはありません。
大きな違いは、表題部所有者は、
その土地や建物の所有者が誰なのかを示すことができますが、
第三者に所有者であることを対抗できないことです。
逆に、所有権の登記名義人は、所有権の登記がされた人で、
その土地や建物の所有者が誰なのかを強く示すことができ、
第三者にも所有者であることを対抗できるのです。
所有権の登記名義人については、
「所有権の登記名義人とは?」で、
くわしく解説しています。
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