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土地家屋調査士:寺岡 孝幸(てらおか たかゆき)
資格:土地家屋調査士(とちかおくちょうさし)、行政書士。
取扱い分野:合筆登記など不動産の表示に関する登記全般。
経歴:開業以来21年間、合筆登記など登記に関する業務を行っています。
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所有権の登記名義人とは、
法務局が管理している不動産登記簿の権利部に、
「所有者」または「共有者」と記載されている人のことです。
実際には、法務局で不動産の登記事項証明書を取得したり、
インターネットで登記情報を取得することで、
所有権の登記名義人が誰なのかを確認することができます。
そこで、登記申請業務を行っている土地家屋調査士が、
所有権の登記名義人について解説いたします。
この記事を閲覧することで、所有権の登記名義人とは何か、
所有権の登記名義人は誰なのか確認の仕方がわかります。
所有権の登記名義人とは?
所有権の登記名義人とは、
法務局が管理する不動産登記簿の権利部(甲区)に、
「所有者」または「共有者」と記載されている人のことです。
不動産登記簿は、次のように表題部と権利部で構成されています。
![不動産登記簿の表題部と権利部の具体例](https://gouhitu.com/wp-content/uploads/2022/08/kennribu.png)
このように、所有権の登記名義人は、
不動産登記簿の権利部(甲区)で、所有者または共有者として、
住所と氏名が記載されている人のことなのです。
ただし、権利部(甲区)の順位番号の確認も必要!
不動産登記簿の権利部(甲区)には、
現在の所有権の登記名義人だけでなく、
過去の所有権の登記名義人の記載もあります。
そのため、現在の所有権の登記名義人は誰なのかについては、
次のように、権利部(甲区)の順位番号の確認も必要なのです。
![不動産登記簿の権利部の具体例](https://gouhitu.com/wp-content/uploads/2022/08/jyunnibanngou.png)
この例で言えば、順位番号2番の行に、
所有者として記載されている人は前所有者のことで、
過去の所有権の登記名義人です。
現在の所有権の登記名義人は、上記の例で言えば、
最終の順位番号3番の行に、
所有者として住所と氏名が記載されている人になります。
所有権の登記名義人と表題部所有者の違い
不動産登記簿では、表題部の記載は常にありますが、
権利部については、記載が無い場合もあります。
表題部だけの不動産登記簿の場合、
具体的には、次のような登記簿になります。
![表題部だけの不動産登記簿の具体例](https://gouhitu.com/wp-content/uploads/2022/08/hyoudaibudake.png)
このような表題部だけの不動産登記簿では、
表題部欄に所有者の住所と氏名の記載があります。
この所有者の記載は、所有権の登記名義人ではなく、
表題部所有者になるということです。
所有権の登記名義人も、表題部所有者も、
どちらも不動産の所有者と言う意味では同じです。
ただ、所有権の登記名義人が登記された場合には、
通常、表題部所有者は下線を引いて抹消されます。
そのため、一筆の土地に所有権の登記名義人も、
表題部所有者も同時に存在することはありません。
不動産の登記の状態によって、
所有権の登記名義人と表題部所有者を、
区別しているのです。
ただ、不動産の売買や相続などの権利に関する登記を、
過去に一度でも行っていれば、
通常、不動産登記簿に権利部(甲区)はあります。
表題部だけの不動産登記簿というのは、
過去に売買や相続による所有権保存登記や所有権移転登記など、
権利に関する登記が何も行われていない不動産の場合になります。
なお、表題部所有者については、
「表題部所有者とは?」でくわしく解説しています。
所有権の登記名義人が誰なのか確認するには?
所有権の登記名義人が誰なのか確認するには、
不動産の登記事項証明書、または、登記事項要約書、
もしくは、登記情報を取得して確認するのが一般的です。
不動産の登記事項証明書と登記事項要約書は、
近くの法務局で誰でも取得できる書面です。
ただし、取得するためには、交付請求書に必要事項を記入して、
手数料分の収入印紙を貼り、法務局の窓口に提出する必要があります。
収入印紙はどこで買えるのかについては、
「収入印紙はどこで買える?買い方は?」を参照下さい。
また、登記事項要約書は、県外の不動産など、
その法務局が管轄している不動産以外の分は、
取得することができません。
逆に、登記事項証明書は、県外の不動産など、
その法務局が管轄している不動産以外の分でも、
取得することが可能です。
ただ、法務局に支払う手数料が、
登記事項証明書は1通600円で、
登記事項要約書は1通450円という違いがあります。
また、登記事項要約書は、現在の登記内容しか記載がなく、
抹消された登記や過去の所有者などの記載はありません。
もし、忙しくて法務局に出向く時間のない場合には、
インターネットで登記情報を取得する方法もあります。
登記情報には、登記事項証明書や登記事項要約書と同じく、
土地 または 建物の現在の登記内容が記載されています。
そのため、所有権の登記名義人が誰なのかを、
確認することも可能です。
もし、所有権の登記名義人の登記がなければ、
表題部所有者の記載があります。
表題部所有者とは何かについては、
「表題部所有者とは?」を参照ください。
ただ、個人がインターネットで登記情報を取得するには、
パソコン環境の設定や、クレジットカードの登録手続きなど、
最初に手間と時間が1週間程度かかります。
もし、パソコン環境の設定もクレジットカードの登録も無しで、
最短で楽に登記情報を取得したいという方は、
「土地の登記情報・公図・地積測量図の取得で困っていませんか?」をご確認下さい。
なお、引っ越しや婚姻などの理由で、
所有権の登記名義人の住所または氏名に変更があった場合、
住所変更登記 または 氏名変更登記が必要になります。
現時点では義務化されていませんが、
令和3年4月に不動産登記法が改正されており、
令和8年4月までに義務化される予定だからです。
正当な理由もなく登記申請を怠った者は、
5万円以下の過料に処せられるので、
住所や氏名に変更があれば、速やかに変更登記を行いましょう。
住所変更登記の必要書類については、
「住所変更登記の必要書類を徹底解説!」で、
くわしく解説しています。
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