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土地家屋調査士:寺岡 孝幸(てらおか たかゆき)
資格:土地家屋調査士(とちかおくちょうさし)、行政書士。
取扱い分野:合筆登記など不動産の表示に関する登記全般。
経歴:開業以来21年間、合筆登記など登記に関する業務を行っています。
土地家屋調査士のプロフィールはこちら
合筆後の地番は、自由に決められるわけではなく、
原則、合筆前の首位の地番(1番若い地番)にすると、
不動産登記事務取扱手続準則第67条で定められています。
ただし、特別の事情がある場合には、
適宜の地番を定めて差し支えないとされています。
不動産登記事務取扱手続準則第67条
地番は,規則第98条に定めるところによるほか,
引用元:Wikibooks.「不動産登記事務取扱手続準則第67条 」. (参照 2021-08-13)
次に掲げるところにより定めるものとする。
六 合筆した土地については,合筆前の首位の地番をもってその地番とする。
七 特別の事情があるときは,第3号,第4号及び第6号の規定にかかわらず,適宜の地番を定めて差し支えない。
そこで、合筆前の首位の地番とは具体的に何なのか、
適宜の地番を定めて良い特別の事情とは何かについて、
合筆登記の申請業務を行っている土地家屋調査士が、
わかりやすく解説いたします。
この記事を閲覧することで、合筆後の地番について、
原則の場合と、特別の事情がある場合のすべてがわかります。
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合筆前の首位の地番とは具体的に何なのか?
合筆後の地番は、原則、合筆前の首位の地番になりますが、
合筆前の首位の地番とは、一般的に、
一番若い地番とも言われています。
では、合筆前の首位の地番(一番若い地番)とは何なのかを、
いくつかの具体例で見てみましょう。
地番が1番と2番を合筆した場合
まず、下図1の2筆の土地(地番が1番と2番)を、
合筆した場合です。
![](https://gouhitu.com/wp-content/uploads/2021/08/gouhitunorei1.png)
この場合、合筆前の首位の地番(一番若い地番)は1番なので、
合筆後の地番は、原則、1番になります。
地番が1番と2番と3番を合筆した場合
次に、下図2の3筆の土地(地番が1番と2番と3番)を、
合筆した場合です。
![](https://gouhitu.com/wp-content/uploads/2021/08/gouhitunorei2.png)
同じく、合筆前の首位の地番(一番若い地番)は1番なので、
合筆後の地番は、原則、1番になります。
枝番のある1番1と1番2と1番3を合筆した場合
次は、枝番のある地番のケースで、
下図3の3筆の土地(地番が1番1と1番2と1番3)を、
合筆した場合です。
![](https://gouhitu.com/wp-content/uploads/2022/04/gouhitugotibannrei.png)
合筆前の首位の地番(一番若い地番)は1番1なので、
合筆後の地番は、原則、1番1になります。
枝番のある地番と枝番のない地番を合筆した場合
次は、枝番のある地番と枝番のない地番のケースで、
下図4の3筆の土地(地番が1番5と2番と3番1)を、
合筆した場合です。
![](https://gouhitu.com/wp-content/uploads/2022/04/gouhitugotibannrei4-1.png)
合筆前の首位の地番(一番若い地番)は1番5なので、
合筆後の地番は、原則、1番5になります。
より具体的な例
次は、より具体的な例として、
下図5の3筆の土地(4番と25番3と35番1)を、
合筆した場合です。
![](https://gouhitu.com/wp-content/uploads/2022/04/gouhitugotibannrei5.png)
合筆前の首位の地番(一番若い地番)は4番なので、
合筆後の地番は、原則、4番になります。
最後にもう1つ具体的な例として、
下図6の4筆の土地(10番5と12番1と5番と3番5)を、
合筆した場合です。
![](https://gouhitu.com/wp-content/uploads/2022/04/gouhitugotibannrei6.png)
この場合、合筆前の首位の地番は3番5なので、
合筆後の地番は、原則、3番5になります。
以上は、合筆後の地番について、申請人に特別な事情がなく、
合筆前の首位の地番(一番若い地番)が、
原則どおり、合筆後の地番になる場合です。
なお、合筆後の地番の登記申請書への書き方については、
「合筆の登記申請書の様式(書式)と書き方」を参照下さい。
また、合筆後の地番について、申請人に特別な事情があり、
法務局の登記官がその特別な事情を認めれば、
適宜の地番を合筆後の地番にすることも可能です。
適宜の地番を定めて良い特別の事情とは何?
では、特別な事情とは何かですが、よくある具体例として、
合筆前の地番の中に自宅などの住所の地番があり、
合筆後の地番を、住所の地番と同じにしたいという例があります。
合筆後の地番を、自宅などの住所の地番と同じにしないと、
不具合が出るといった場合、通常、特別の事情として認められます。
ただし、最終的な判断は、
書類提出後の登記官の判断となります。
なお、合筆前の地番以外の地番を、
合筆後の地番にすることはできません。
あくまで、合筆前の地番の内から、
住所と同じ地番にしないと困るという特別な事情により、
合筆後の地番にすることができるということです。
たとえば、下図7の場合、原則通りなら、
首位の地番である1番4が合筆後の地番になります。
![](https://gouhitu.com/wp-content/uploads/2022/04/gouhitugotibann.png)
しかし、住所の地番が2番だった場合、
そのことを特別な事情として合筆登記の申請を行い、
法務局の登記官に認めてもらえれば、
合筆後の地番を2番にすることも可能ということです。
また、原則ですと、合筆後の地番が4番になったり、
枝番に4が付く場合(上図7の1番4などの場合)、
縁起が悪いので別の地番にしたいという人もいます。
ただ、縁起が悪いという事情だけでは、
特別の事情と認められない可能性が非常に高いです。
いずれにしても、特別の事情に該当するかどうかは、
法務局の登記官の判断になります。
特別の事情があるだけで良い?
特別の事情があるだけでなく、
特別の事情を合筆登記の申請書の余白部分に記載して、
法務局の登記官に知らせる必要があります。
または、上申書(じょうしんしょ:事情を申す書)を作成して、
合筆登記の申請書類と一緒に法務局に提出し、
法務局の登記官に知らせる方法でもかまいません。
上申書は、決まった様式は特にありません。
そのため、合筆後の地番を適宜の地番にしたい旨と、
合筆前の首位の地番以外の地番にする特別な事情を、
法務局の登記官が納得するように作成することになります。
もし、土地家屋調査士に代理申請してもらう場合には、
合筆後の地番を適宜の地番にしたい旨と特別の事情を、
土地家屋調査士に事前に伝えておくと良いでしょう。
特別の事情が認められなかったら?
合筆登記の申請書類を法務局に提出後、
特別の事情が認められなかった場合は、
申請書等の補正又は登記申請の取り下げを行うことになります。
登記申請の取り下げの場合、
別途、取下書を法務局に提出しなければなりません。
さらに、所有権の登記のある土地の合筆の場合には、
登録免許税の還付手続きか、
再使用申出を行うことになります。
そして、必要であれば、
合筆登記の申請書類を作り直して、
再度、法務局に登記申請することになるのです。
そのため、特別の事情が認められそうでなければ、
原則どおり合筆前の首位の地番を合筆後の地番にして、
合筆の登記申請をする方が無難と言えます。
なお、合筆後の地番の登記申請書への書き方については、
「合筆の登記申請書の様式(書式)と書き方」を参照下さい。
また、合筆後の地積(面積)については、
「合筆後の土地の地積(面積)はどうなる?」で、
くわしく解説しています。
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