![【この記事の監修者】土地家屋調査士:寺岡孝幸の顔写真](https://gouhitu.com/wp-content/uploads/2021/08/kannsyuusyateraokatakayuki.png)
土地家屋調査士:寺岡 孝幸(てらおか たかゆき)
資格:土地家屋調査士(とちかおくちょうさし)、行政書士。
取扱い分野:合筆登記など不動産の表示に関する登記全般。
経歴:開業以来21年間、合筆登記など登記に関する業務を行っています。
土地家屋調査士のプロフィールはこちら
合筆登記の申請を代理人が行う場合には、
申請人全員からの委任状が必要になります。
ただ、申請人が1名の場合と共有の場合、
申請人が法人の場合、合筆前の土地の数や、
委任する範囲によって、委任状の内容が違ってきます。
もし、委任状に記載すべき内容に不足があれば、
あとで困ることになってしまいます。
そこで、土地の合筆登記の委任状について、
合筆登記の申請業務を行っている土地家屋調査士が、
具体的にわかりやすく解説致します。
※ケースごとの委任状のダウンロードも可能です。
この記事を閲覧することで、合筆登記の委任状について、
どういった場合に、どんな委任状が必要かすべてわかります。
合筆登記の委任状の例と作成方法
下図1は、合筆登記の委任状の例です。
![合筆登記の委任状の例](https://gouhitu.com/wp-content/uploads/2021/08/gouhitunoininnjyounorei.png)
この例は、法務局が合筆登記の委任状の例としている様式で、
個人から土地家屋調査士への委任はもちろん、
個人から個人への委任にも使用できるものです。
合筆登記の委任状は、上図1の例を参考(基本)にして、
申請内容に応じて作成することになります。
通常、A4サイズの用紙を縦にして作成します。
パソコンですべて作成しても良いですし、
すべて手書きで作成してもかまいません。
ただ、委任状には、次の1~7の内容の記載が必要です。
- 誰が誰に委任するのかわかる一文
- 委任する内容(範囲)
- 委任した年月日
- 委任者の住所、氏名、実印の押印
- 委任する登記の目的
- 不動産の所有者の住所、氏名
- 不動産の表示
実際の委任状で言えば、
下図2のそれぞれの赤枠部分のことです。
![合筆登記の委任状に記載する内容](https://gouhitu.com/wp-content/uploads/2022/04/ininnjyounokisainaiyou.png)
上図2の1~7のそれぞれの内容について、
1つ1つ順番に解説致します。
1.誰が誰に委任するのかわかる一文
誰が誰に委任するのかわかる一文は、
下図3のように記載します。
![](https://gouhitu.com/wp-content/uploads/2022/04/daregadareniininn.png)
上図3の〇〇市〇〇町〇番〇号 〇〇〇〇の部分には、
受任者(委任される人)の住所と氏名を記載します。
個人であれば、個人の住所と氏名を記載し、
資格者代理人の土地家屋調査士であれば、
事務所の住所と氏名を記載するのです。
2.委任する内容(範囲)
合筆登記に関するすべてを委任する場合、
委任する内容(範囲)は、下記の1~5の内容になります。
![](https://gouhitu.com/wp-content/uploads/2022/04/ininnsurunaiyouhanni.png)
土地家屋調査士などの資格者代理人に委任する場合は、
通常、この1~5の内容をそのまま記載します。
しかし、1~5の内容すべての委任ではなく、
一部の内容だけを委任したい、
といった場合もあることでしょう。
その場合は、状況に応じて、
1の「登記申請書類を管轄登記所に提出すること」だけや、
2の「登記識別情報と完了証を受領すること」だけを、
委任内容として記載することもできます。
つまり、委任する内容(範囲)については、
委任者(委任する人)が自由に決めて記載できるということです。
3.委任する年月日
実際に委任する年月日を記載します。
通常、委任状に押印した日になります。
![](https://gouhitu.com/wp-content/uploads/2022/04/ininnbi.png)
委任する年月日で注意すべきことは、
委任内容を実行する年月日か、
それよりも前の年月日にすることです。
4.委任者の住所、氏名、実印
委任者が1人(登記名義人が1人)の場合は、
下図4のように記載します。
![](https://gouhitu.com/wp-content/uploads/2022/04/ininnsya.png)
もし、委任者が数人(登記名義人が共有)の場合は、
下図5のように下に連ねて記載し、
それぞれの持分の記載は必要ありません。
![](https://gouhitu.com/wp-content/uploads/2022/04/ininnsyagasuuninn.png)
住所と氏名は、委任者の住民票の住所と氏名を記入します。
もし、所有権の登記のある土地の合筆の場合は、
印鑑証明書が必要書類となるので、
その印鑑証明書の住所と氏名と同じでなければなりません。
そして、実印の所には、
印鑑証明書と同じ印鑑(実印)で鮮明に押印します。
印影が薄かったり、印影の一部が欠けていると、
法務局に提出後、補正等になってしまう可能性があるからです。
もし、印影が薄かったり、印影の一部が欠けた場合には、
その印影の右横の余白に、
再度、鮮明に押印しておくと良いでしょう。
なお、委任者の住所と氏名については、
自署でも良いですし、すべて印字でもかまいません。
また、委任者が会社などの法人の場合は、
下図6のように記載します。
![](https://gouhitu.com/wp-content/uploads/2022/04/ininnsyagahoujinnkaisya.png)
住所と氏名の所には、法人の住所と会社名、
代表者名を記載し、所有権の登記のある土地の合筆なら、
会社の実印を押印します。
5.委任する登記の目的
登記の目的は、「合筆」と記載します。
![](https://gouhitu.com/wp-content/uploads/2022/04/toukinomokuteki.png)
ただ、「合筆登記」と記載してもかまいません。
6.不動産の所有者の住所と氏名
不動産の所有者の住所、氏名は、
下記のように記載しますが、
この箇所に押印は必要ありません。
![](https://gouhitu.com/wp-content/uploads/2022/04/syoyuusyanokisai.png)
もし、所有者が2名以上の共有の場合には、
下に連ねて全員の住所と氏名を記載します。
共有者の持分の記載は、必要ありません。
もし、所有者が法人の場合には、
法人の住所、会社名、代表者名(代表取締役)を記載します。
7.不動産の表示
委任状には、合筆登記の申請内容までわかるように、
登記申請書の不動産の表示と同じ内容を、
下図7のように記載します。
![](https://gouhitu.com/wp-content/uploads/2022/04/fudousannnohyouji.png)
以前までは、不動産の表示として、
不動産の所在と地番だけ記載していました。
しかし、現在では、不動産の所在と地番だけでなく、
委任する合筆登記の申請内容まで明確にするため、
登記申請書の不動産の表示と同じ書式になっています。
なお、合筆の登記申請書については、
「合筆登記の申請書の様式(書式)と書き方」で、
くわしく解説しています。
合筆登記の必要書類については、
「合筆登記の必要書類を徹底解説!」を参照ください。
合筆登記の委任状には自署が必要?
合筆登記の委任状には、代理人の住所・氏名と、
合筆前の土地の表題部所有者の住所・氏名、または、
所有権の登記名義人の住所・氏名の記載が必要です。
そこで、それぞれの住所・氏名の記入については、
本人の自署が必要かどうか、迷う人もいらっしゃいます。
結論としては、本人が自署しても良いですし、
すべて記名(すべて印字)でもかまいません。
ただ、いずれの場合でも、委任者の押印は必要です。
合筆登記の委任状には実印の押印が必要?
合筆登記の委任状に実印の押印が必要かどうかは、
所有権の登記のある土地の合筆か、
所有権の登記のない土地の合筆かで異なります。
所有権の登記のある土地の合筆の場合、
委任状には、所有権の登記名義人の住所・氏名を記入して、
印鑑登録と同じ実印を押す必要があります。
そして、住所と氏名は、
その人の印鑑証明書の住所・氏名と同じでなければなりません。
実印の押印については、
印影が薄かったり、欠けたりしないように、
鮮明に押印する必要があります。
なぜ、実印の押印が必要なのかと言えば、
所有権の登記のある土地の合筆には、
申請人の印鑑証明書が必要書類の1つとなっているからです。
そして、土地所有者が本人申請する場合は、
登記申請書に申請人として実印を押印します。
しかし、代理人が申請する場合には、
登記申請書に申請人の実印を押印する代わりに、
委任状に申請人の実印を押印することになるからです。
そういった理由からも、
土地が共有(複数人)の場合には、
共有者全員の実印を、委任状に押印する必要があるのです。
申請人の印鑑証明書など合筆登記に必要な書類については、
「合筆登記の必要書類を徹底解説!」を参照下さい。
次に、所有権の登記のない土地の合筆の場合、
合筆登記の委任状には、表題部所有者の住所・氏名を記入して、
印鑑を押すことになります。
その際の印鑑は認印でもかまいませんが、
実印を押していれば間違いありません。
合筆登記の委任状の書式とダウンロード
合筆登記の委任状の書式や書き方はわかったけど、
ケースごとに自分で一から委任状を作成するのは大変、
という方も多いのではないでしょうか?
そこで、合筆登記の委任状の書式を、
ケースごとにダウンロードできるようにしていますので、
ダウンロード後、文字や数値を自由に変更してお使い下さい。
土地所有者が1名の場合
![土地の所有者が1名の場合の委任状の例](https://gouhitu.com/wp-content/uploads/2021/08/gouhitunoininnjyounorei.png)
下記の黄色のボックス内から、この委任状の書式を、
エクセル 又は PDFでダウンロードできます。
ご自由にお使いください。
土地所有者が2名の場合
土地所有者が2名以上の場合、下図9のように、
所有者全員の住所、氏名、押印が必要ですが、
それぞれの所有者の持分の記載は特に必要ありません。
![土地の所有者が2名の場合の委任状の例](https://gouhitu.com/wp-content/uploads/2021/09/ininnjyoumihonn.png)
下記の黄色のボックス内から、この委任状の書式を、
エクセル 又は PDFでダウンロードできます。
ご自由にお使いください。
土地の所有者が法人の場合
土地の所有者が法人の場合は、下図10のように、
法人の住所、会社名、代表者名を記入して、
登録されている会社の実印を押す必要があります。
![土地の所有者が法人の場合の委任状の例](https://gouhitu.com/wp-content/uploads/2021/09/ininnjyoumihonn2.png)
下記の黄色のボックス内から、この委任状の書式を、
エクセル 又は PDFでダウンロードできます。
ご自由にお使いください。
合筆登記の委任状はいつ提出すれば良い?
登記申請に関する一切の権限を委任する場合は、
通常、合筆登記に必要な申請書類と一緒に、
管轄法務局に提出します。
しかし、登記完了後の登記識別情報通知の受領や、
登記完了証の受領のみを、他の共有者から委任される場合には、
受領する時までに委任状を提出してもかまいません。
また、登記申請の取り下げ、又は、補正のみを、
他の共有者から委任される場合は、
法務局で登記申請を取り下げたり、補正をする時までに、
委任状を提出してもかまいません。
なお、委任状は、代理人が合筆登記を申請する場合や、
共有者などから委任事項がある場合に必要な書類となります。
合筆登記の必要書類については、
「合筆登記の必要書類を徹底解説!」を参照下さい。
合筆登記の申請書の様式や書き方については、
「合筆の登記申請書の様式(書式)と書き方」で、
くわしく解説しています。
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