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【この記事の監修者】土地家屋調査士:寺岡孝幸の顔写真

土地家屋調査士:寺岡 孝幸(てらおか たかゆき)
資格:土地家屋調査士(とちかおくちょうさし)、行政書士。
取扱い分野:合筆登記など不動産の表示に関する登記全般。

経歴:開業以来20年間、合筆登記など登記に関する業務を行っています。
土地家屋調査士のプロフィールはこちら

合筆の制限の特例として、次の4つの場合に、
合筆の登記が認められています。

  1. 承役地についてする地役権の登記がある土地。
  2. 先取特権、質権、又は抵当権の登記がある土地で、
    登記の目的、申請の受付年月日、受付番号、
    登記原因及びその日付がすべて同じ土地。
  3. 信託の登記がある土地で、
    法第97条第1項各号に掲げる登記事項が同じ土地。
  4. 鉱害賠償登録に関する登記がある土地で、
    鉱害賠償登録規則第2条に規定する登録番号が同じ土地。

上記4つの内、いずれかの登記のある土地は、
所有権の登記以外の権利に関する登記がある土地になりますが、
合筆の制限の特例によって合筆することが可能です。

これら合筆の制限の特例については、
不動産登記規則第105条で明記されています。

不動産登記規則(合筆の登記の制限の特例)第百五条
法第四十一条第六号の合筆後の土地の登記記録に登記することができる権利に関する登記は、次に掲げる登記とする。
一 承役地についてする地役権の登記
二 担保権の登記であって、登記の目的、申請の受付の年月日及び受付番号並びに登記原因及びその日付が同一のもの
三 信託の登記であって、法第九十七条第一項各号に掲げる登記事項が同一のもの
四 鉱害賠償登録令(昭和三十年政令第二十七号)第二十六条に規定する鉱害賠償登録に関する登記であって、鉱害賠償登録規則(昭和三十年法務省令第四十七号)第二条に規定する登録番号が同一のもの

引用元: e-Gov法令検索.「不動産登記規則 」. (参照 2021-09-23)

そこで、合筆の制限の特例について、
合筆の登記申請業務を行っている土地家屋調査士が、
1つ1つわかるように解説致します。

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承役地の地役権の登記がある土地の特例

まず、地役権の登記には、
承役地についてする地役権の登記と、
要役地についてする地役権の登記があります。

そして、承役地についてする地役権の登記は、
そもそも一筆の土地の一部について登記できるもので、
合筆後の土地の一部にあっても問題ないため、
合筆が認められているのです。

具体的に、承役地の地役権の登記がある土地の場合、
土地の登記記録(登記情報)の乙区の欄を見ると、
次のような記載があります。

承役地についてする地役権の登記の例
(承役地についてする地役権の登記の例)

このような地役権の登記のある土地であれば、
承役地についてする地役権の登記なので、
合筆の制限の特例によって、合筆することが可能なのです。

なお、同じ地役権に関する登記であっても、
要役地についてする地役権の登記がある土地は、
合筆することができません。

要役地の地役権の登記がある土地の場合、
土地の登記記録(登記情報)の乙区の欄を見ると、
次のような記載があります。

要役地についてする地役権の登記の例
(要役地についてする地役権の登記の例)

このような要役地の地役権登記のある土地は、
合筆することができないので、
承役地の地役権の登記と混同しないように注意が必要です。

先取特権,質権又は抵当権の登記がある土地の特例

先取特権と質権、又は抵当権の登記については、
登記の目的、申請の受付年月日、受付番号、
登記原因及びその日付がすべて同じ土地同士であれば、
合筆制限の特例により、合筆することが可能です。

なぜなら、この場合の合筆を認めても、
合筆前と合筆後で、抵当権などの権利の範囲が、
不明確になるおそれがないからです。

そして、抵当権者の権利についても、
特に問題になることはありません。

なお、合筆が認められている先取特権、質権、
抵当権の登記には、仮登記も含まれています。

抵当権の登記がある土地の合筆については、
抵当権付きでも合筆可能?抵当権者の承諾は?」で、
くわしく解説しています。

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信託の登記がある土地の特例

信託の登記がある土地でも、
不動産登記法第97条第1項各号に掲げる登記事項が同じなら、
合筆制限の特例として、合筆することが可能です。

不動産登記法第97条第1項の条文は、次のとおりです。

不動産登記法 第九十七条
登記信託の登記の登記事項は、第五十九条各号に掲げるもののほか、次のとおりとする。
一 委託者、受託者及び受益者の氏名又は名称及び住所。
二 受益者の指定に関する条件又は受益者を定める方法の定めがあるときは、その定め。
三 信託管理人があるときは、その氏名又は名称及び住所。
四 受益者代理人があるときは、その氏名又は名称及び住所。
五 信託法(平成十八年法律第百八号)第百八十五条第三項に規定する受益証券発行信託であるときは、その旨。
六 信託法第二百五十八条第一項に規定する受益者の定めのない信託であるときは、その旨。
七 公益信託ニ関スル法律(大正十一年法律第六十二号)第一条に規定する公益信託であるときは、その旨。
八 信託の目的。
九 信託財産の管理方法。
十 信託の終了の事由。
十一 その他の信託の条項。

引用元:Wikibooks.「不動産登記法 第97条第1項」. (参照 2022-05-16)

鉱害賠償登録に関する登記がある土地の特例

鉱害賠償登録令第26条に規定の鉱害賠償登録に関する登記で、
鉱害賠償登録規則第2条に規定する登録番号が同じ場合、
合筆の制限の特例として、合筆することが可能です。

鉱害賠償登録令第26条の条文は、次のとおりです。

鉱害賠償登録令 第二十六条
登記官は、支払の登録をし、支払の登録を抹消し、又は抹消した登録を回復したときは、法務省令で定めるところにより、当該不動産の登記簿にその旨を記録しなければならない。

引用元: e-Gov法令検索.「鉱害賠償登録令」. (参照 2022-05-16)

鉱害賠償登録規則第2条の条文は、次のとおりです。

鉱害賠償登録規則 第二条
予定された賠償額の支払の登録(以下「支払の登録」という。)の登録用紙の登録番号欄には、登録簿に支払の登録の申請書をつづつた順序を記載し、その他の登録の登録用紙の登録番号欄には、その登録と同一の不動産に関する権利についてした支払の登録の登録用紙に記載した登録番号を記載しなければならない。

引用元: e-Gov法令検索.「鉱害賠償登録規則」. (参照 2022-05-16)

所有権の登記以外の権利に関する登記とは?

所有権の登記以外の権利に関する登記とは、
所有権の保存登記と、所有権の移転登記以外の登記のことで、
具体的には、次の登記が該当します。

  • 所有権に関する仮登記
  • 所有権についての処分制限の登記
  • 買戻特約の登記
  • 信託の登記
  • 敷地権である旨の登記
  • 財団に属した旨の登記
  • 先取特権、質権、抵当権の登記
  • 要役地についてする地役権の登記

所有権の登記以外の権利に関する登記がある土地は、
原則、合筆することができません。

このことは、合筆の登記の制限として、
不動産登記法第41条の六項目に明記されています。

不動産登記法(合筆の登記の制限)第四十一条
次に掲げる合筆の登記は、することができない。
六 所有権の登記以外の権利に関する登記がある土地(権利に関する登記であって、合筆後の土地の登記記録に登記することができるものとして法務省令で定めるものがある土地を除く。)の合筆の登記

引用元: e-Gov法令検索.「不動産登記法 」. (参照 2021-08-17)

ただ、合筆の条件とも言える合筆の制限は全部で6つあり、
合筆の条件(合筆制限)は?合筆できない土地」で、
くわしく解説しています。

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