合筆登記の必要書類としては、次のものがあります。
- 登記申請書(常に必要な書類)
- 登記識別情報又は登記済証(所有権登記がある場合のみ必要)
- 申請人全員の印鑑証明書(所有権登記がある場合のみ必要)
- 登録免許税納付用台紙(所有権登記がある場合のみ必要)
- 代表者資格証明情報(申請人が法人の場合のみ必要)
- 代理権限証明情報(代理人が申請する場合のみ必要)
- 地役権証明書及び地役権図面(合筆後の一部に地役権がある場合のみ必要)
上記書類はすべて常に必要というわけではなく、
登記申請書以外は、必要になる場合と、
必要でない場合があるということです。
さらに、必須の書類ではありませんが、
次の2つの書類についても、
提出をお願いしている法務局があります。
- 案内図(提出した方が良い書類)
- 地形図(合筆所在図)(提出した方が良い書類)
もし、合筆登記に必要な書類が1つでも足りないと、
登記申請書類の補正や却下となり、あとで困ることがあります。
そこで、土地の合筆登記の必要書類について、
合筆登記の申請業務を行っている土地家屋調査士が、
1つ1つ具体的にわかりやすく解説いたします。
土地家屋調査士:寺岡 孝幸(てらおか たかゆき)
資格:土地家屋調査士(とちかおくちょうさし)、行政書士。
取扱い分野:合筆登記など不動産の表示に関する登記全般。
経歴:開業以来21年間、合筆登記など登記に関する業務を行っています。
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この記事を閲覧することで、合筆登記の必要書類について、
どういった場合に、何が必要になるのかがすべてわかります。
登記申請書
登記申請書は、土地の所有権登記の有無に関わらず、
申請人が個人でも法人でも、代理人が申請する場合も、
合筆登記の申請で常に必要な書類です。
登記申請書というのは、下図1の書面のことです。
登記申請書を法務局の登記所に提供(提出)することで、
どのような登記をしたいのかを主張することになります。
ただ、この登記申請書については、
不動産登記令第4条で定められているように、
合筆後の土地1筆つき、1つの登記申請書が必要です。
不動産登記令(申請情報の作成及び提供)第四条
引用元: e-Gov法令検索.「不動産登記令 」. (参照 2021-08-16)
申請情報は、登記の目的及び登記原因の応じ、
一の不動産ごとに作成して提供しなければならない。
たとえば、3筆の土地を1筆に合筆して、
別の土地2筆も1筆に合筆するような場合には、
登記申請書を2つ(2件)作成して申請することになるのです。
そして、登記申請書は、A4サイズの丈夫な用紙を縦に置いて、
横書きで作成し、用紙の裏面は使用しないとされています。
もし、合筆前の土地が多くて、登記申請書が数枚になる場合、
不動産登記規則第46条で定められているように、
それぞれの用紙のつづり目に、申請人または代表者、
もしくは代理人が、契印をしなければなりません。
不動産登記規則(契印等)第四十六条
引用元: e-Gov法令検索.「不動産登記規則 」. (参照 2021-08-16)
申請人又はその代表者若しくは代理人は、
申請書が二枚以上であるときは、
各用紙のつづり目に契印をしなければならない。
なお、合筆登記の申請書の様式と書き方については、
「合筆登記の申請書の様式(書式)と書き方」で、
くわしく解説しています。
登記識別情報または登記済証(権利証)
登記識別情報または登記済証(権利証)は、
所有権の登記がある土地を合筆する場合にのみ必要な書類です。
ただし、合筆前のすべての土地ではなく、
いずれか1筆の土地の登記識別情報、
または、登記済証(権利証)のみでかまいません。
まず、登記識別情報というのは、
下図2のような「登記識別情報通知」というタイトルの書面で、
法務局から通知される情報のことです。
「登記識別情報通知」の下部のシール等による目隠し部分には、
アラビア数字や符号を組み合わせた12文字の情報が記載されています。
所有権の登記がある土地を合筆する際に必要なのは、
「登記識別情報通知」に記載された12文字の情報であり、
登記識別情報通知書そのものではありません。
そのため、12文字の情報さえ他の方法で管理できていて、
所有権の登記がある土地の合筆登記申請の際に提供できれば、
「登記識別情報通知」自体は紛失していても問題ないのです。
次に、登記済証というのは、
2006年(平成17年)3月7日まで発行されていた、
下図3のようないわゆる権利証のことです。
ただし、オンライン庁の指定を受けていない登記所では、
2008年(平成20年)7月14日まで、
登記済証が権利証として交付されていた経緯があります。
そのため、所有権保存登記や所有権移転登記等をした登記所や、
その時期によって、登記識別情報通知を受け取っている場合と、
登記済証(権利証)を受け取っている場合があるのです。
いずれにしても、所有権の登記がある土地の合筆には、
合筆前のいずれか1筆の土地について、
登記識別情報または登記済証(権利証)が必要になります。
なお、合筆前の土地が共有の場合には、
合筆前のいずれか1筆の土地について、
共有者全員の登記識別情報または登記済証(権利証)が必要です。
ちなみに、所有権の登記がある土地というのは、
下図4の登記情報(登記事項)の例のように、
権利部(甲区)の記載がある土地のことをいいます。
上図4のような権利部(甲区)の記載がある土地の合筆には、
合筆前のいずれか1筆の土地の権利証(登記識別情報、
または、登記済証)が必要になるということです。
逆に、下図5の登記情報(登記事項)の例のように、
表題部のみで、権利部(甲区)の記載がなければ、
たとえ所有者の住所と氏名の記載があっても、
その土地は所有権の登記が無い土地と言えます。
上図5のような表題部のみの土地の合筆の場合、
登記識別情報または登記済証(権利証)は必要ありません。
なお、登記済証(権利証)が、
どのような物なのかよくわからないという方は、
「登記済権利証の見本」をご確認ください。
もし、土地の登記情報(登記事項)の取得でお困りの方は、
「土地の登記情報・公図・地積測量図の取得で困っていませんか?」をご活用ください。
申請人全員の印鑑証明書
申請人全員の印鑑証明書は、
所有権の登記がある土地を合筆する場合にのみ必要な書類です。
申請人全員の印鑑証明書は、市区町村が作成したもので、
作成後3ヶ月以内の原本が必要となり、
各自原本1通で足ります。
もし、合筆前の土地が共有の場合には、
共有者全員が申請人になるので、
共有者全員の印鑑証明書を各自原本1通ずつ必要になります。
なお、法務局に提出する印鑑証明書の原本は、
合筆登記では原本還付が不可なので、戻してもらえません。
そのため、合筆登記したい土地が2ヶ所以上あり、
管轄の法務局が異なる場合には、
合筆登記を申請する法務局の数だけ印鑑証明書の原本が必要になります。
また、申請人が法人の場合には、
法人の印鑑証明書の原本が1通必要です。
ただし、合筆登記の申請書の添付情報欄に、
「印鑑証明書(会社法人等番号12桁)」を記載すれば、
法人の印鑑証明書の添付を省略することができます。
合筆登記の申請書の様式と書き方については、
「合筆登記の申請書の様式(書式)と書き方」を参照下さい。
合筆登記で必要な印鑑証明書については、
「合筆登記で印鑑証明書は必要?期限はある?」で、
くわしく解説しています。
登録免許税納付用台紙
「登録免許税納付用台紙」は、
所有権の登記がある土地の合筆の場合にのみ必要な書類で、
下図7のような用紙のことです。
なぜ必要なのかと言えば、所有権の登記がある土地の合筆には、
登録免許税1,000円の納付が必要で、
現金納付した領収証か、収入印紙を貼り付ける用紙が必要になるからです。
ただ、「登録免許税納付用台紙」については、
様式など特に決まっていないので、何も書かずに、
A4サイズの白紙用紙を使用してもかまいません。
もう少し具体的に言いますと、登録免許税の納め方には、
現金納付する方法と、収入印紙で納付する方法があり、
申請人又は代理人がどちらかの方法を自由に選択できます。
現金納付する方法を選択した場合、
現金納付した領収証を「登録免許税納付用台紙」に貼り付けて、
登記申請書と一緒にその台紙をつづり、
申請人または代理人がつづり目に契印をします。
収入印紙で納付する方法を選択した場合は、
1,000円分の収入印紙を購入して台紙に貼り付けて、
登記申請書と一緒にその台紙をつづり、
申請人または代理人がつづり目に契印をします。
もし、合筆前の土地が共有で申請人が数人いる場合、
共有者(申請人)全員が契印をします。
注意すべきは、契印は登記申請書に押す印と同じであることと、
収入印紙を貼り付けた場合、収入印紙に消印をしてはいけないことです。
なお、登録免許税の納付用台紙についてやテンプレートは、
「登録免許税納付用台紙テンプレートと書き方」を参照下さい。
合筆登記の登録免許税については、
「合筆登記の登録免許税について」で、
くわしく解説しています。
登録免許税の具体的な納付方法については、
「登録免許税の納付方法(現金納付と収入印紙)」をご確認下さい。
代表者資格証明情報
代表者資格証明情報は、申請人が法人の場合にのみ必要で、
具体的には、法人の代表者の資格を証する登記事項証明書、
または、支配人等の権限を証する登記事項証明書のことです。
いずれも発行日より3ヶ月以内のものが必要ですが、
登記申請書の添付情報欄に、
「代表者資格証明情報(会社法人等番号・・)」と記載すれば、
法人の登記事項証明書は不要になります。
厳密に言えば、省略することができるということです。
合筆の登記申請書の様式と書き方については、
「合筆登記の申請書の様式(書式)と書き方」を参照下さい。
合筆登記で法人の印鑑証明書の省略については、
「合筆登記で印鑑証明書は省略できる?」で、
くわしく解説しています。
代理権限証明情報
代理権限証明情報は、代理人が申請する場合にのみ必要で、
具体的に何かと言えば、委任状のことです。
下図8は、合筆登記の委任状の具体例になります。
委任状には、申請人の住所・氏名を記名して押印する方法と、
申請人本人が署名して押印する方法がありますが、
どちらの方法でもかまいません。
記名(きめい)というのは、
印字やゴム印など、本人の署名以外の方法で記載することです。
ただ、申請人の押印は、かならず実印でなければなりません。
もし、土地が共有名義の場合には、
共有者全員の住所・氏名の記名または署名と、
実印の押印が必要になります。
なお、合筆登記の委任状の様式、記載例、ダウンロードは、
「合筆登記の委任状を徹底解説!」を参照ください。
地役権証明書および地役権図面
地役権証明書と地役権図面は、
地役権の登記がある承役地の合筆の登記を申請する場合で、
地役権の範囲が合筆後の一部にある場合にのみ必要な書類です。
合筆前の土地に地役権の登記がなければ、
地役権証明書も地役権図面も必要ありません。
提出した方が良い書類
次の2つの書類について、提出をお願いしている法務局があります。
- 案内図・・・合筆する土地の場所がわかる地図
- 地形図(合筆所在図とも言う)
どちらも法定添付書類(必須の書類)ではありませんので、
添付していなくても、補正や却下になることはありませんが、
法務局によっては提出の協力をお願いしている所もあります。
そのため、案内図と地形図(合筆所在図)は、
提出しておいた方が良い書類となりますので、
それぞれどういったものかご説明致します。
案内図
案内図というのは、
住宅地図やグーグルマップなどの地図上で、
合筆する申請土地がどこなのかを示す図のことです。
なぜ、案内図が必要かと言えば、
登記所の担当者が、現地確認を行う場合に、
あった方がわかりやすい意味でお願いされています。
もし、現地がどこなのかわかりにくい場合、
現地立会をお願いされることもあるので、
案内図を提出しておいた方が無難です。
作り方は、住宅地図やグーグルマップなどの地図を用意して、
合筆する土地とその周辺をコピーまたは印刷し、
合筆する土地の周囲を赤線で囲み、
申請土地と記入して出来上がりです。
地形図(合筆所在図とも言う)
特に、合筆登記を申請する法務局(登記所)が、
東京都、神奈川県、埼玉県、宮城県、富山県、
和歌山県、島根県、高知県、宮崎県の場合には、
提出しておいた方が良い書類です。
地形図というのは、下図8のように、
公図をコピーして作成した図のことです。
作り方としては、
まず、合筆する土地の公図(切図)を用意します。
公図の用意ができましたら、公図をコピーして、
合筆することで消える地番と筆界線に、
赤色で×印をします。(※コピーの方に記入)
最後に、申請人(または代理人)の住所・氏名を余白に記入して、
申請人(または代理人)の印を押せば完成です。
なぜ地形図の提出もお願いしている法務局があるのかと言えば、
合筆の条件の1つである「接続した土地」かどうかを、
公図上でも、申請人側で確認しておく意味合いもあるからです。
なお、合筆の条件(合筆できない土地)については、
「合筆の条件(合筆制限)は?合筆できない土地」で、
くわしく解説しています。
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・ 合筆のデメリット
合筆登記の必要書類のまとめ
所有権登記がある場合 | 所有権登記がない場合 | |
登記申請書 | 必要 | 必要 |
登記識別情報又は登記済証 | 必要 ※合筆前いずれか1筆 | 不要 |
申請人全員の印鑑証明書 | 必要 | 不要 |
登録免許税納付用台紙 | 必要 | 不要 |
資格証明書 | 申請人が法人なら必要 ※省略する方法あり。 | 申請人が法人なら必要 |
代理権限証明情報 | 代理人が申請なら必要 | 代理人が申請なら必要 |
地役権証明書と地役権図面 | 合筆後の土地の一部に地役権があれば必要 | 合筆後の土地の一部に地役権があれば必要 |
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