所有権の登記のある土地の合筆登記では、
添付書類の1つとして、
合筆前の土地の登記識別情報が必要となっています。

ただ、合筆前の土地の登記識別情報について、
次のような疑問をお持ちの方は多いと思います。

  • 「合筆前の登記識別情報とは?」
  • 「合筆前のどの土地の登記識別情報が必要?」
  • 「合筆前の土地が共有の場合、誰の登記識別情報が必要?」
  • 「合筆前の登記識別情報の提供の仕方は?」
  • 「合筆前の登記識別情報が無い場合は?」

もし、合筆前の登記識別情報が不足した状態で申請をしても、
法務局での審査が通らず、あとで困ることになります。

そこで、合筆前の登記識別情報について、
合筆登記の申請業務を行っている土地家屋調査士が、
具体的にわかりやすく解説いたします。

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この記事を閲覧することで、合筆前の登記識別情報について、
必要な登記識別情報と、その提供の仕方まですべてわかります。

合筆前の登記識別情報とは?

所有権の登記がある土地の合筆登記の申請では、
合筆前の登記識別情報を添付書類として、
管轄法務局に提出する必要があります。

そして、合筆前の登記識別情報というのは、
所有権の登記名義人の登記識別情報のことで、
合筆する前の土地のいずれか一筆分の登記識別情報で足ります。

このことは、不動産登記令第8条1項1号と、
同2項1号で、次のように明記されています。

不動産登記令第八条(登記名義人が登記識別情報を提供しなければならない登記等) 
法第二十二条の政令で定める登記は、次のとおりとする。
ただし、確定判決による登記を除く。

一 所有権の登記がある土地の合筆の登記

2 前項の登記のうち次の各号に掲げるものの申請については、当該各号に定める登記識別情報を提供すれば足りる。

一 所有権の登記がある土地の合筆の登記 当該合筆に係る土地のうちいずれか一筆の土地の所有権の登記名義人の登記識別情報

引用元: e-Gov法令検索.「不動産登記令 」. (参照 2022-10-3)

具体的には、次のような登記識別情報通知の下部に、
シール貼り付け方式や下部折り込み方式によって、
目隠しされている英数字12桁のことです。

シール貼り付け方式の登記識別情報通知の例

シール貼り付け方式の登記識別情報通知の例
(シール貼り付け方式の登記識別情報通知の例)

登記識別情報通知がシール貼り付け方式の場合、
上図の緑色のシールをはがすと、
次のような英数字12桁の登記識別情報が確認できます。

シールをはがすと確認できる登記識別情報の例
(シールをはがすと確認できる登記識別情報の例)

下部折り込み方式の登記識別情報通知の例

下部折り込み方式の登記識別情報通知の例
(下部折り込み方式の登記識別情報通知の例)

登記識別情報通知が下部折り込み方式の場合、
上図の深緑色の目隠し部分を開封すると、
次のような英数字12桁の登記識別情報が確認できます。

目隠し部分を開封すると確認できる登記識別情報の例
(目隠し部分を開封すると確認できる登記識別情報の例)

合筆前のどの土地の登記識別情報が必要?

たとえば、次のような1番、2番、3番の三筆の土地を、
一筆の土地に合筆する場合、
合筆前の土地は、1番、2番、3番です。

そして、合筆前の土地なら、
どの土地の登記識別情報でもかまいません。

上記の例で言えば、1番の土地の登記識別情報でも、
2番の土地の登記識別情報でも、
3番の土地の登記識別情報でも良いということです。

つまり、合筆前の全ての土地について、
登記識別情報が必要というわけではありません。

合筆前の土地であれば、どの土地でもかまわないので、
合筆前の土地一筆分の登記識別情報が必要ということです。

合筆前の土地が共有の場合、誰の登記識別情報が必要?

まず、共有の土地というのは、
所有権の登記名義人に持分があり、
共有者全員の持分を足すと1になる土地のことです。

たとえば、所有権の登記名義人Aさんの持分が3分の2で、
Bさんの持分が3分の1で、AさんとBさんの持分を足すと、
2/3+1/3=1になるような土地です。

そして、土地が共有の場合に注意すべきことは、
共有者1人1人に異なる登記識別情報があることです。

そのため、合筆前のどの土地でもかまいませんが、
同じ土地について、共有者全員の登記識別情報の提出が必要になります。

なぜなら、所有権の登記がある土地の合筆登記では、
合筆する前の土地の内、
いずれか一筆分の登記識別情報が必要とされているからです。

つまり、合筆前の土地が共有の場合、
誰の登記識別情報が必要というわけではなく、
合筆前の土地一筆分の共有者全員の登記識別情報が必要となります。

合筆前の登記識別情報の提供の仕方は?

合筆前の登記識別情報の提供の仕方としては、2通りあります。

1つは、登記識別情報が見える形で、
登記識別情報通知をコピーした用紙を提供する方法です。

もう1つは、メモ書き 又は A4白紙の用紙に、
登記識別情報を記入して提供する方法です。

どちらの方法でもかまいませんが、
登記識別情報が記載された書面は、
封筒に入れて、封をして提出しなければなりません。

また、封筒についてはどんな封筒でもかまいませんが、
次のように、申請人の氏名又は名称と、登記の目的、
登記識別情報在中の旨を、封筒に明記する必要があります。

もし、合筆前の土地が共有の場合で、登記識別情報をメモ書き、
又は A4サイズの白紙に記入する方法で提供する場合には、
共有者の氏名とその方の登記識別情報がわかるように記入します。

そして、合筆前の登記識別情報を法務局に提供する場合には、
合筆の登記申請書の添付情報欄に、
「登記識別情報」と記載しなければなりません。

なお、合筆の登記申請書の様式や書き方については、
合筆の登記申請書の様式(書式)と書き方」で、
くわしく解説しています。

合筆前の登記識別情報など、合筆登記の必要書類については、
合筆登記の必要書類を徹底解説!」を参照下さい。

合筆前の登記識別情報が無い場合は?

合筆前の土地の登記識別情報が無い場合でも、
合筆前のいずれか一筆分の登記済権利証の原本があれば、
それを提出する方法でもかまいません。

なぜなら、所有権の登記がある土地の合筆登記の申請では、
合筆前のいずれか一筆の土地の登記識別情報の提供か、
登記済権利証の原本を提出すれば良いからです。

登記済権利証がどういった書類かは、
登記済権利証の見本」をご確認下さい。

ただ、平成17年~平成20年頃から現在までは、
登記済権利証の発行ではなく、
登記識別情報通知の発行に代わっています。

逆に、平成17年~平成20年頃より以前に、
売買や贈与、相続などで所有権移転登記をしていた場合、
その土地の登記識別情報は無いということになります。

なぜなら、登記識別情報通知の発行が始まったのが、
平成17年~平成20年頃からのため、
それ以前は、登記済権利証の発行のみだったからです。

ただ、合筆前の土地の登記識別情報が紛失などで無い場合は、
登記識別情報を提供できないので、
他の3つの選択肢があります。

登記識別情報が紛失などで無い場合については、
登記識別情報を紛失したら?再発行は?」で、
くわしく解説しています。

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